第六話 中等部最強と呼ばれた男
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いるな。戦闘実技は最初に怪我を防止するための柔軟体操、その後身体を暖めるサーキットをする。高等部からの生徒は事前に配った用紙を確認しているな? よし、なら各自始め」
割と雑に投げ、一部の生徒が戸惑う中でその雑さに慣れている中等部上がりが始める。それに倣って全員が体操とサーキットを終える。それを確認した教師は生徒たちを集めて話を始める。
「戦闘実技は基本一対一で行う。急所への攻撃は無し。リングに背中か膝を付いている相手への追撃は無し。勝敗は三秒以上倒れるか降参の意思を見せること。判定は各々のリングにあるカメラでする。全員と総当たりで三ヶ月に一度、ランキングを作る。
最初に戦闘の見本を見せるか……阿國、頼めるか?」
名指しされた氷絃は特に驚くこともなく、頷いてリングに上がる。この時点で氷絃は教師と一戦するのかと思っていたが、それは違った。
「葉由、やってみるか?」
「ええ、お願いします」
視線が一人の生徒の方に向けられる。スッと立ち上がった葉由と呼ばれた生徒はプロテクターに慣れていないような動きでリングに上がった。身に付けているブローチは『鍛鉄』の証だ。
「はじめまして、葉由風馬です」
「ああ、はじめまして。俺は阿國氷絃だ」
礼儀として自己紹介と握手、二人とも初対面だ。それを見て教師が簡単な二人の説明をする。
「阿國は中等部の頃から候補生内での戦闘実技は無敗。三年間一位の座を守り続けた男だ」
「葉由は今年から、つまり高等部編入生だが今年のスカウト枠で戦闘における実績もある」
ざわざわとその説明を聞き、観戦している生徒たちを尻目に葉由は口を開く。
「三年間一位なんですか、すごいですね」
「まぁな。そっちこそ毎年一枠しかない『スカウト枠』じゃないか」
『スカウト枠』は黄劉学園長を始めとした聖境学園の上層部が様々な資料を元に将来有望だと判断したOI能力者を製鉄師候補と魔女候補一人ずつ選出して入試や学費免除など様々な優待をして学園に入学させるというものだ。
「一番最初に話が回ってきたのなら胸を張ることができたんですけどね。俺は四人目だったらしいですよ。聖玉、聖憐、聖晶に行ったと聞きました」
「それでもお前は選ばれたんだろ。胸を張ればいいじゃないか」
「ありがとう。顔に似合わず優しいんですね」
「……初めて言われたな」
そこまで会話したところで教師に準備確認をされ、二人は特に問題ないと答える。
「始めっ!」
開始の合図と共に、氷絃の視界から葉由が消える。直後、潜り込んできた葉由が拳による最速の一撃を腹に向けて放つ。
それを氷絃は難なく拳のプロテクターで防ぎ、ローキックで反撃するがサイド&バックステップで容易く避けられ
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