第六話 中等部最強と呼ばれた男
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るけどな」
「いや普通勝てないから。契約組にタイマンの鉄脈術無しとはいえ勝率三割とか普通はおかしい」
「そうか?」
「そうだよ……ってやっぱり氷絃、細いね。あんなに力強いのにその細さってどうなってるの?」
隆太が言うように氷絃の線は細い。それどころか肌も白く、パッと見ると「もやし」なのだが、よく見れば無駄のない筋肉がついているとわかる。所謂「細マッチョ」なのだ。
「毎日鍛練だな。三年くらい続ければこうなる」
「ならないと思うし続けられないなぁ……」
そう遠い目をしながら隆太は自身の腕を見てみるが、氷絃と比べると筋肉がついてないことが一目瞭然だ。
そんな隆太を尻目に氷絃は淡々と着替えを終わらせる。戦闘実技では機能性を重視したややピッチリとしたインナーに半ズボンその上に魔鉄製の軽いプロテクターを装着する。
「先に行ってるぞ」
「うん」
そう言って氷絃は訓練棟へと足を運んだ。彼が一番乗りだったようで、一緒に実技をする魔女候補の生徒もいない。
「少しだけ身体を慣らしておくか」
自己鍛練を春休みの間も欠かさずにやっていた氷絃だったが、いざ戦闘をすると頭と身体のどちらかが追い付かない可能性もあるのでそれを事前に擦り合わせるために端の方にあるサンドバッグを殴り始めた。
少しして生徒がぞろぞろと入ってきたところで氷絃は止める。
「しまった、タオルを忘れたな」
少しだけだが汗もかいているので、タオルのない氷絃はプロテクターのついてない肩口で汗を拭おうとするとスッと背後から無地のタオルが差し出された。
「氷絃くん、タオルです」
「おうありがとな……って冴空か!?」
「そうですよ?」
「……見てたのか?」
「はい」
「冴空に気付かなかったのは不覚だな……」
「集中してる氷絃くんかっこよかったです。見惚れちゃいました」
「はは、ありがとな」
氷絃は冴空にべた褒めされること自体は日常茶飯事だが、やや多い人のいる前でそう褒められると恥ずかしいような反応を見せた。
「あ、そのタオル今日使って大丈夫ですよ。氷絃くん用のタオルなので」
「おう、ありがたく使わせてもらうな」
「水筒もあるので休み時間に欲しくなったら言ってくださいね!」
「本当、何から何まで助かる。ありがとな、冴空」
「氷絃くんのためですから!」
ここで男女別で最初のトレーニングをすることとなり、氷絃は男子の列に合流する。隆太を含めた少ない友人は「あー、またイチャイチャしてるよ」みたいな空気だが、その他大勢は嫉妬や怨嗟の視線がチクチクと突き刺すように氷絃へと視線をやっていた。
始業のチャイムが鳴ると、厳ついゴリラのような風貌の戦闘実技教師が氷絃たちの前に出て人数確認をする。
「四十……全員
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