§7 欧州の大魔王、襲来
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「ぜぇ……ぜぇ……」
「マスター、日が暮れちゃいましたよ……」
恐怖の元を辿ろうと探索を開始して早3時間。時刻は8時を回ったところだ。近くまで迫れているのはわかるのだが絞り込めない。相手の力があまりにも強すぎてこの周囲全てから気配を感じてしまう。カンピオーネが滞在しているのだから魔術的防御を備えている建物かと推測したものの周りの建物全てに結界が張られていてはお手上げだ。流石にそこまで甘くはなかったか。唇をかみ締める。無駄に歩いて凄い疲れる。
「ミスったな…… こんなことになるならもうちょいスサノオから探査系の術教わっとくんだった」
もうちょい歩いて収穫がなければ退却しよう。明日の授業に差し障る。なにより、いくら認識阻害をかけているとはいえ、夜にここをふらふらと出歩いていれば「同類」だと知られてしまいかねない。そこまで考えて空気の違いに気づく。
「……エル」
「囲もうとしてますね。気配が皆無であることを考えると死者かと。数は……ごめんなさい、わかりません」
「ん、十分だよ。ありがと」
流石に認識阻害程度ではカンピオーネを騙す事は出来なかったらしい。包囲しようとしている敵のもっとも甘い部分へ歩き出す。ロンギヌスは、顕現させない。出そうものなら次にあったときに今回のことに関してしらをきることが出来ない。今回はあくまで「正体不明の存在を撃退した」と相手に認識してもらわなければ困るのだ。正体が発覚すれば今までの苦労がおじゃんになってしまう。よって権能は使わない。
「この程度で僕を止めるなんてムリだよ。さよなら」
そっと呟き、死人の群れをすり抜ける。かなりの手練れのようだが、敵ではない。包囲に失敗した死人たちは、こちらへ向かってくるがなんら脅威となりえない。このまま逃げさせてもらおう。
「ふむ、尻尾を巻いて逃げるかね? 少年。」
「……チッ」
屋根の上、100m程のところに人が居る。彼がおそらく噂のカンピオーネだろう。やはりバレたか。舌打ちを思わずしてしまう。大丈夫だ、フードを被っている以上相手はこちらの顔まではわからない。
「魔力を感じない癖に認識阻害をこうも巧妙に仕掛ける。我が”死せる従僕”を赤子同然にあしらう。貴様も我が同胞だろう。気配を断つ能力は珍しいな。ずいぶん若いことといい将来が楽しみだ。あぁ、先に無断で君の所領に入った非礼をわびよう」
余裕を感じさせるその口振り。護堂と勘違いしているのだろうか。だとしたらまずいか。すばらしく偉そうなその口ぶりに、お前より長生きだと言い返してやりたいが言ってやろうか。今生きているカンピオーネで自身が最年長なのは確認済みだ。
(まぁでも年齢なんて飾りだしなぁ……)
内心複雑に思いつつ、指摘するのは諦めた。所詮
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