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魔王の友を持つ魔王
§7 欧州の大魔王、襲来
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ぁ、これだけ集めた物だ。換金してからスーパー、ついでに薬局もよって洗剤買おうかと頭の中で道順を組み立てる。もう慣れたから迷いはしない。きっと。




「あとは洗剤買って終わりかな」

 買い物袋に結局入りきらず、ビニール袋をもらってしまった。2円の値引きをしてもらえなかったのは少し残念だがしょうがない。人の気配がないことを確認して、自らの影に袋をしまう。無駄なものをしまい込んでいたせいか、許容量オーバーになってしまったようで買い物袋はしまえたもののビニール袋はしまえなかった。術というのは便利といえば便利だが、時々妙に融通が利かない。袋の1つ2つでたいして変わるとは思えないのに。まぁ現実空間にしろ、影の中にしろ、整理整頓していないといざという時に困る、ということか。
 そんな家への帰り道。街路樹がいきなり、ざわめいた。カイムの力で、街路樹と会話を取ろうと試みる。どうにも嫌な予感がする。こういうときの勘はえてしてあたるものだ。

「どうしたの?」

ざわ、ざわ……

「え? 誰それ?」

ざわ……ざわ……

「場所は、わかる?」

ざわざわ……

「そっか、ありがと。こっちで探してみるよ」

 街路樹との会話を終えると、アパートへの帰路を急ぐ。洗剤はまたの機会だ。買い物を全部部屋において、黒いコートをとってこなければならない。

「マスター、いったい何が?」

「なんかヤバいカンピオーネが来日したんだと。木々の恐怖がここまで伝染してきてる。一体全体そやつは何をしでかしたんだろうねぇ。いったん帰って、外出準備」

 今は左目が利かないが我が侭をいってはいられない。敵はおそらく関東、十中八九東京にいる。木々がここまで恐怖に震える、ということは広範囲破壊を幾度も繰り返しているのだろう。ぺんぺん草すら残らないぐらいに蹂躙しなければここまで木々はざわめかない。

「ロクな事態じゃないことは明白だけれど、常識的な範囲で事が済みますように」

「マスター、多分願うだけ無駄です。動物的勘ですけど」

 神に祈るなり我が家のキツネ様に即否定された。エルの勘は馬鹿にできない。元野生動物だからか命がかかわる状況でのエルの勘はよくあたる。戦いになりかねない事態なので今度もきっとあたるのだろう。憂鬱だ。

「そんなため息ばっかつくと幸せ逃げちゃいますよ? イヤなら放置しとけばどうです? もっともその場合護堂様に全被害が行きますけど。多分」

「そーれーを防ぐんだって。とりあえず敵情視察といくよ」

 帰るなり買った物を部屋に山積みにして黒いコートを羽織る。パッと見不審者に見えないこともないが認識阻害をかけるので問題はない。敵の場所がわからないから「みんな」の恐怖を辿っていくことにしよう。




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