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ある晴れた日に
653部分:悪魔その十四

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悪魔その十四

「絶対にな。竹林を守って元に戻して」
「あいつと戦う」
「そうしろっていうのね」
「そうだ。どうだ?」
 あらためて皆に対して問うてきた。
「それで」
「そうだよな。それじゃあ」
「それで」
「やる?」
「決める?」
 皆まずは顔を見合わせ合った。そのうえで話す。
 そして暫く話してから。あらためて彼に答えた。
「わかった、じゃあな」
「それでいいわ」
「決めるわ」
 こう彼に答えたのだった。
「それでな」
「灯り消して」
「わかった」
 佐々も彼等の言葉に頷いた。 
 そうして灯りのスイッチにやって。言ってきた。
「いいか、一分だ」
「ええ、一分ね」
「その間にな」
「去った奴に対しては何も言うな」
 このことも言うのだった。
「絶対にだ。それも決断だ」
「ああ、わかってる」
「それはね」
 皆もわかっていた。佐々のその言葉に頷く。
「そして決めたらもう絶対にぶれるなよ」
「決めたらか」
「それなら」
「ああ、そうだ」
 まさにそうだというのだ。彼は。
「いいな、何があっても迷うなよ」
「よし、それなら」
「その一分で決めて後は迷わない」
「それで」
 こう言い合って彼の言葉に頷いた。こうして灯りが消された。
 永遠の沈黙に思われた。暗闇の中の静寂は何処までも静かなものだった。その静寂の中で彼等がそれぞれ考えていた。そうして導き出された答えは。
 永遠に思われた一分だったがそれは終わった。そして残っていたのは。
「いいんだな、それで」
「ああ、いいさ」
「決めたわよ」
「覚悟するわ」
 誰も去ってはいなかった。皆残っていた。誰もが勝った様な微笑みを浮かべていた。
 そうして言うのであった。佐々に対して。
 特に五人はだ。未晴のことを思いながら言った。
「未晴の為にね」
「何があっても」
「やってやるからよ」
 こう言って決意を確かなものにさせているのだった。
 佐々はその皆の覚悟を見てから満面に笑みを浮かべ。そうしてこう告げた。
「じゃあ今日はな」
「ああ」
「どうするの?」
「食い放題飲み放題だ」
 それだというのである。
「いいな、どんどんやってくれよ」
「って今までもそうじゃねえかよ」
「ねえ」
「このお店って」
「だから違うよ」
 しかし佐々はそれは違うというのだった。
 どう違うかというと。本人から言ってきた。
「今日は金はいいからよ」
「っておい」
「いいの?それで」
「商売でしょうね」
「商売以上に大事なもの見たからだよ」
 だからだというのである。

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