652部分:悪魔その十三
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悪魔その十三
「恐怖をどうするかなんだ」
「恐怖を克服するってこと?」
茜は今の彼の言葉をそう捉えた。そして問うのだった。
「それって」
「うん、そうだよ」
そして竹山の返答はこうであった。
「そういうことなんだ」
「恐怖を」
奈々瀬がそれを聞いて呟いた。
「簡単に言うけれど」
「難しいよ」
これは竹山もよくわかっていることだった。
「正直に言ってね」
「誰も動けなかったわね」
恵美が現実を述べた。
「本当に誰もね。それで動ける様になるのには」
「どうしたらいいんだ?」
「それは」
「待てよ」
佐々がまたカウンターから言ってきた。
「あいつも確かに見たんだよな」
「ああ、そうだよな」
「それはね」
もう『あいつ』だけでそれが誰なのかわかることになっていた。
「それでもあいつはああやって」
「出来ているってことは」
「覚悟なんだろうな」
佐々はそれだというのだ。
「結局のところはな」
「覚悟」
「それがあれば」
「あいつみたいに」
「なれるのね」
「やれるんだな」
「だろうな」
佐々はこう皆に話した。
「それで。どうするんだ?」
「どうするって」
「それって」
「覚悟決めるか?」
彼は今度は具体的に言ってきた。
「俺達も」
「決めたつもりだったわ」
最初に応えたのは明日夢だった。
「私だってね。未晴のこと知ってから」
「だよな、俺だって」
「私だってそうだったわよ。けれど」
「あいつは」
「実際に会ったら」
違っていた。それも全くだったのだ。それで恐れていたのである。
「あんなのなんて」
「本当に」
「だからだよ」
佐々はまた言ってみせた。
「俺達もな。またな」
「あらためて覚悟を決めるってことだね」
加山が言ってきた。佐々のその言葉に応えて。
「要するに」
「ああ、どうなんだ?」
「どうするか」
「皆な。覚悟決めないか」
こう言ってからだった。あらためて言うのだった。
「それでな」
「それで?」
「何するんだよ」
「今から灯り消すぞ」
彼は皆に対して言った。
「一分な」
「一分なのね」
「その間に決めるか」
こう皆に対して言う。その目は真剣そのものでぶれてはいなかった。
「どうするかな」
「つまりあれね」
明日夢がここでまた言ってきた。
「一分の間に覚悟を決めてあいつと対するか決めるってことね」
「決められない奴は行っていい」
佐々はこうも話した。
「灯りを消すその間にな。ただな」
「ただ?」
「何だよ」
「決めたらもう迷うなよ」
こう皆に言うのだった。
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