第7章:神界大戦
第216話「慈悲なき絶望・後」
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…?」
だが、極光を放った直後に聞こえてきた声に呆気に取られる。
「……相手が俺でなければな」
「(分身を、盾にした……!?)」
奏が放った極光は、神の障壁だけでなく奏の分身も使って阻まれていた。
「“防ぐ”と言うのを見誤ったな。分身を増やすのは有効だが、同時に俺の盾を増やす事になる」
「(ただ肉壁にしただけじゃない……“性質”によって強化されていた。だから私の分身を盾にしただけで、さっきよりも強い砲撃を防げたのね……)」
奏の分身という肉壁を使って“防ぐ”。
そうすることで、神は障壁も含めさらに防御力を増やしていたのだ。
利用された分身は、まるで引っ張られるように動かされ、抵抗もほとんど出来ていなかった。そして、盾にされた後は消し炭となっていた。
本体の奏と同じく、“意志”の持ちようで復活は出来るが、分身も盾にしてあらゆる攻撃を防ぐという事実は、さらに奏の精神を追い詰めていた。
「(鼬ごっこね……。分身で時間を稼がないと障壁を全て貫く威力は出せず、かといって分身を出せばそれを盾にされて結局防がれる……どうすれば……)」
攻撃が通じず、どうしようもない。
そんな状況は確実に奏の精神を蝕む。
だが、絶望するにはまだ踏み止まれた。
「……頃合いだな」
「っ……?」
だからこそ、神は次の一手を打つ。
「今、確かにお前は絶望の片鱗を感じたな?心を挫けば負けるこの神界で」
「っ、でも、まだ終わってない……!」
「ああそうさ。一人だけでは挫ける程じゃあない」
“だが”、と神は奏の分身達を見回しながら続ける。
「……こうすれば、どうだ?」
「ッ……!」
その言葉に、奏は身構えて警戒する。
しかし、目の前の神からは何もしてこない。
―――そう、“目の前の神から”は
「ッ―――!?」
奏が気配に気づき、振り返った時には遅かった。
そこには、別の神が肉薄しており、その掌は奏の額に触れていた。
奏と神を隔離する結界は、神が張ったものだ。
故に、神によって他の神や“天使”を侵入させる事は可能である。
そのため、こうして奏の死角を突くように別の神が現れた。
「―――“集束”」
“集束の性質”を持つ別の神が、その力を行使した。
「ぇ―――――」
刹那、奏の意識は暗転した。
「……馬鹿な奴だ」
倒れ伏した奏を見下ろしながら、“防ぐ性質”を持つ神は呟いた。
「確かに、絶望の片鱗程度しか感じていなかっただろう。だが、お前の分身も同じようにそれを感じていた。……その感情を一点に
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