暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン14 鉄砲水と手札の天使
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「ああ、誰かと思えば擬態の新人、最後まで自分の正体が秘密のままだと思っていた公権力の犬ですか。どうです、先日の賞金は?何か有意義な使い道は見つかりましたか?例えばそう、昔のごっこ遊びのお友達と旧交を温めるような」
「この野郎、今なんつった……!」

 どうやら煽り合いは、巴の方が一枚上手だったらしい。的確に神経を逆なでする挑発の叩き返しに、怒りが瞬間的に膨れ上がる。辛うじてその場での爆発だけは堪えたものの、歯を食いしばって睨みつける目にもそれまで以上の力がこもる。

「糸巻さん、八卦ちゃん、それとそこの。この野郎は、俺が相手します!」
「ちっ……無茶すんなとは言わないからな。よしいいか鳥居、差し違える気で死ぬ気で喰らいつけ!」

 言い争う暇はないと判断し、糸巻にしては珍しくあっさりと彼の案に乗る。それは逆に言えば、それだけ巴の存在を重く見ているということの証左でもあった。ともかくそれだけ言い残し、くるりと身を翻して八卦の手を引き階段を駆け上がっていく。清明も空気を読んだらしくその後ろに続いていくのを視界の端で見送ったのち、改めて2人だけとなった戦場で戦士たちは向かい合った。

「一応聞いておこうか、テロリスト。何の用があってここに?」
「それは無粋な質問ですね。人間の技術力は、ソリッドビジョンに肉体という器を与えることに成功した……しかし、傀儡はあくまで傀儡でなくてはならない。我々が欲しいものはこちらの意思を遂行する人形であって、自らの力で考える兵士ではない。いかなる理由があって意志を持つカードなるものが生まれたのか?それを知ることはすなわち、その発生源に蓋をする方法の第一歩ですよ。ここで目撃された「幽霊」はイレギュラーな産物ではありますが、同時にその突然変異へ至った原因を突き止めるにはきわめて興味深いサンプルです」
「まあぺらぺらとよく喋る、確かに糸巻さんは嫌いそうなタイプだ……『それでは、残念ながら観客は0といささか盛り上がりに欠ける舞台ではございますが。鳥居浄瑠のエンタメデュエル、本日はその目に焼き付けてお帰り願いましょう!』」

 デュエルディスクをほぼ同時に構え、暗い廊下で視線が交差する。外では月に雲がかかったのか、すっと射し込む光が弱まった。そしてそれを合図にしたかの如く、2人の声が響いた。

「「デュエル!」」





 一方、2階へと駆け上がった糸巻らは。この廃図書館の間取りは階段を上がれば横に伸びる廊下があり、かつては読み聞かせなどのイベントが行われていたのであろう小部屋に繋がる扉と2階の大部分を占める閲覧室の大まかに分けて2つの部屋がある。

「ぐわーっ!?」

 ちょうど階段を上り終えた彼女の目の前で、閲覧室側の扉を吹き飛ばして人間の体が部屋の内側から吹き飛ばされる。そのまま
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