ターン14 鉄砲水と手札の天使
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ちぐはぐな言動を見とがめた鳥居に指を1本口元に立てて黙らせ、パラパラと自分のカードをめくりお目当てらしき1枚を引っ張り出す。好奇心を抑えきれずにその手元を覗き込んだ八卦が、その名前を読み上げる。
「幽鬼うさぎ……ですか?知ってますよ、レアカードですね」
「そ、いいでしょー。まあレア度はなんでもいいんだけど、女の子の精霊ならやっぱ女の子が適任かなって。おいで、うさぎちゃん」
朗らかに呼び寄せながら探し当てた幽鬼うさぎのカードをモンスターゾーンに置くと、彼の頭上に現れた長い銀髪の和装少女が得物の鎌を片手に一回転しながら着地する。無言で一礼するその身長はこの4人の中では一番背の低い八卦よりもさらに小さいが、血のように赤いその瞳はその体の小ささや華奢な体格から生じる第一印象を打ち消してなお余りあるほどの凄みを放っていた。
「やっぱり……この感覚は間違いないね。ここには間違いなく、カードの精霊がいる。ねえうさぎちゃん、昔を思い出すねえ。あのデュエルアカデミア古井戸の底、はるばる君に会いに行った時も、ちょうどこんな感じがしたもんだ。ただ今回はあの時と違って、それなりに緊急事態だからさ」
「さっきからお前、何ぶつぶつ1人でやってるんだ?」
「どうも、ね……確かに例の精霊ちゃんもこの辺のどこかにはいるんだけど、あんまり人には会いたくないのかな?細かい場所まで探れないからさ。同じ精霊の感覚なら、もうちょっと絞り込めるんじゃないかと思ってね。そういうわけで頼むよ、うさぎちゃん」
その言葉に小さく首を縦に振った幽鬼うさぎが、その名の示す通りの兎さながらに周囲をきょろきょろと見まわしては耳をそばだてる。ややあって彼女が無言で指さしたのは、2階へと続く階段だった。
「そういえば……」
少女が思い出したのは、初めて例の幽霊と遭遇したあの1瞬の時である。あの時も半透明の幽霊少女は、こちらの姿を認識するや否やすぐに2階へと駆け出していった。その時に後を追おうとした少女の前に立ち塞がったのが、朝顔と夕顔のタッグである。
「じゃあ行こうか……あーいや、またお客さん?本当にもう、どうなってんのこの町は」
ぼやきながらも彼が振り返ったのは、彼らが入ってきた正面入り口とは別にある裏手の従業員入り口のある方角。ちょうど八卦も先日の侵入ルートとして使用した、鍵のかかっていない小さなドアのある方向だった。慌てて少女もそちらの方に視線を向けると、すでにデュエルポリスの2人もデュエルディスクを構えて臨戦態勢に入っている。両者ともにいつもの軽口も出てこないところに、その「お客さん」への警戒の高さが感じられた。
そして4つの視線の見つめる先から、ゆっくりと1つの人影が歩み寄る。本棚の影の暗闇にまぎれて視認できなかったその姿も、足音が大きく
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