暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン14 鉄砲水と手札の天使
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「じゃ、ぼちぼち行こっかな。んで、おねーさんたちはどうするのかね」

 突如現れた朝顔が再び出て行ってから、およそ一時間が経過した。何とはなしに壁にかかった時計を見上げた清明がそろそろ頃合いかと、背伸びしつつ探るような視線を向ける。

「わ、私もご一緒します!」
「アタシも。乗り掛かった舟だ、もうちょい付き合ってやるよ」
「俺も。行きたくはないけどしょうがないしな」

 返ってきた三者三様の答えに小さく頷き、ふらりと身を翻す。ついてきたければご自由に、ということなのだろう。

「んじゃ爺さん、姪っ子は重要参考人としてちょいと借りてくぜ」
「おや。天下のデュエルポリス様がそう言うのなら、この老体に反発する気はないよ」
「頼むからやめてくれ、爺さん」
「ひひひ、冗談さね。とはいえ九々乃、今は何かと物騒だからね。こんな時間に出歩くんだ、絶対に一人にならないように。いいかい?」
「はい、おじいちゃん……そうだ!」

 糸巻の知るその現役時代からつかみどころのない老人ではあったが、その姪に対する愛情は本物なのだろう。かなり真面目な忠告に当の少女も神妙に頷き、直後にさも名案を思いついたとばかりの笑みでとてとてと糸巻の隣に行きその手を伸ばす。

「あん?どうした、八卦ちゃん」
「手を繋ぎましょう、お姉様!私が迷子にならないように、です!」
「え、ええ……?」

 いやそれはおかしいだろう。喉まで出かかった言葉を糸巻が寸前で呑み込んだのは、そのあまりにきらきらとした瞳に見据えられたせいだった。さも自信満々に、さあ名案でしょう褒めてくださいお姉様!と言いたげな少女の瞳。自分にはとっくの昔に失われた若さと、生まれた時から持ち合わせていなかった純真さ。自分にないものをまじまじと見せつけてくるようなこの瞳に見つめられると、どうも彼女は調子が狂う。
 結局今回も、のろのろとした動きながらも彼女は自分から差し伸べられた少女の手を取るのだった。

「おふたりさーん、イチャついてるなら置いてくよー?」

 若干の苛立ちを含んだ催促にそれ以上の追及を諦め、満面の笑みと共にがっしりと握り返された自分の手を見つめる糸巻。ため息をひとつ呑み込んで、代わりにこう言うのだった。

「……んじゃ、ま、なんだ。行くか、八卦ちゃん」
「はい!おじいちゃん、行ってきます!」





「さて、と。んじゃ、始めてみますかね」

 再び廃図書館に辿り着いて警報装置を切り、先日とは異なりかつての正面入口から堂々と中に入る一行。小さく呟いた清明が取り出したのは、なぜかその言葉とは裏腹に自らのデッキだった。同時に、左腕につけた青い腕輪の一部を押して例の謎技術を用いられたデュエルディスクを展開する。

「おい、何やってんだ?」

 そんな
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