第34話
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そんなことを…………」
トマスの話を聞いたエマは驚き、セリーヌは目を細めた。
「まったく…………どうせリィンの義務感に付け込んで無理矢理迫らせたんじゃないですか?」
「アハハ、信用ないですねぇ。否定はしませんけど。――――――それはともかく、解読できた”黒の史書”にこんな一節が記されていたんです。『―――贄により古の血が流されし刻、”黒キ星杯”への道が開かれん。穢れし聖獣が終末の剣に貫かれ、その血が星杯を充たす刻、”巨イナル黄昏”は始まらん。』」
ジト目のサラの指摘に苦笑しながら答えたトマスは表情を引き締めてアリサ達にとって驚愕となる事実を答えた。
「…………!?」
「な…………」
「それは…………」
トマスの話を聞いたエマは驚き、オリヴァルト皇子は絶句し、ミュラーは厳しい表情を浮かべ
「あ、あまりにもタイムリーすぎるというか…………」
「まるで今の状況を予言しているようだよね…………」
マキアスとエリオットは不安そうな表情で呟いた。
「…………仮に”古の血”というのが皇帝陛下だとしたら…………」
「”贄”は皇帝陛下を銃撃したアッシュとやらの事になるな。」
ラウラとアルゼイド子爵はそれぞれ真剣な表情で推測し
「…………だったら”星杯”に”剣”っていうのは…………?」
「星杯――――――七耀教会に関係する何かとしか思えないが…………」
「それと穢れし聖獣もそうだよね…………」
フィーとユーシス、トワはそれぞれ考え込んでいた。
「…………かつてこの大聖堂の地下には、”聖なる空間”がありました。”始まりの地”――――――大崩壊後に、重要な役割を果たすために築かれた施設だったのですが…………900年前に帝都が闇に閉ざされた時、”この地下から消えてしまったんです。”」
「消えた…………?」
「…………そういう施設についての噂はリベール組から聞いたことがあるけど。」
トマスの話を聞いて仲間達と共に驚いたアンゼリカは眉を顰め、サラは静かな表情でトマスを見つめて呟いた。
「ええ、リベール王都のグランセル大聖堂にも存在します。しかし帝都を取り戻した時、この真下にあったその大空間が完全に岩盤に呑み込まれていましてね。ですが消えたのではなく――――”別の場所”へ転位したとしたら?」
「あ……………………」
「今もどこかに存在する…………?」
「そして穢れし聖獣とは恐らく”大地の聖獣”じゃろう。――――――900年前の災厄の時に姿を消した女神の聖獣の一方…………妾の見立てによれば、暗黒竜もその”眷属”に過ぎぬ。」
「ちょ、ちょっと待ってください!?」
「あの骨の竜の元となった暗黒竜ですらも”眷属”なんですか!?」
ローゼリアの推測を聞いたエリオットは血相を変え、マキアスは信じられない表情で訊ねた。
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