第百三話 大国の狙いその一
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第百三話 大国の狙い
アメリカの星の者達はこの夜は彼等の宿で一同に会してそのうえで鍋を囲み酒を飲んでいた。その鍋はというと。
トウェインが笑ってだ、こう言った。
「猪も美味いな」
「ああ、そやな」
メルヴィルも笑って言った。
「少し固いけどな」
「ええ味や」
「匂いは味噌で消すとな」
「上等の豚肉と似た味でええわ」
「ほんまやな」
「いや、こうした鍋もいいですね」
ボームは自分の椀の中のシシ肉、つまり猪の肉を食べつつ述べた。
「猪も」
「豚もええけどな」
「勿論牛や鶏でもな」
トウェインとメルヴィルはボームにそれぞれ応えた。
「猪もこれでな」
「ええ味やな」
「しかもです」
今度はヘミングウェーが言ってきた。
「野菜や茸も多く入っていて」
「こういうのもええな」
「ほんまにな」
「私はお豆腐も好きです」
見ればヘミングウェーは実際に豆腐を食べている。
「柔らかい日本のお豆腐も」
「それな」
メルヴィルはヘミングウェーのその言葉に返した。
「アメリカでも豆腐あるけどな」
「固いですね」
「中国とかもそうらしいな」
「それはお水の関係です」
ボームがアメリカや中国の豆腐が固い理由を話した。
「我が国等は硬水ですが」
「日本は軟水でやな」
「お豆腐は作る際に多くの水を使います」
ボームはこのことも話した。
「それで、です」
「お水が固いとやな」
「固くなります」
「そういうことやな」
「そういうことです」
「それでこの柔らかさなのね」
デリーロも豆腐を食べつつ述べた。
「そうなのね」
「そういうことです」
「崩れやすいけれど」
それでもと言うのだった。
「美味しいわ」
「そうですね」
「あたしはこっちも好きよ」
「それではですね」
「猪肉もお野菜もこっちもね」
鍋の中にあるもの全てをというのだ。
「食べていきましょう」
「それでは」
「そして飲んで」
ルイスは実際に今は酒を飲んでいた。
「日本のこのお酒を」
「日本酒にも慣れたわね」
「そうですね」
杯の中の酒を飲みつつだ、ルイスはデリーロに応えた。
「この古都に入ってから」
「毎晩飲んでいてね」
「すっかり馴染んできました」
「本当にね」
「馴染めるだけの味だしな」
ホイットマンも言いつつ飲んでいる。
「これはね」
「そうですね」
「じゃあね」
「どんどん飲もうね」
「文字通りどんどん飲んで」
そしてと言ってだ、ガーランドも飲む。
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