第十三話「ホロコースト・X」
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五河琴里から放たれた炎が収まった先には満身創痍の彼女の姿があった。五つあったアハトアハトは全て破壊され原形を留められない程溶かされていた。霊装は燃え、所々皮膚が露となっている。
「けほ、まさかこれほどの火力を持っていたとは…っ!」
彼女は口から少量の血を吐き出しながら忌々しそうに呟く。アハトアハト五門で問題ないと思った彼女の致命的な判断ミスであり彼女を絶体絶命の窮地に追いやっていた。
「銃を取りなさい」
そんな彼女に対し琴里は先ほどとは一変した威厳ある声で言う。
「まだ闘争は終わっていないわ」
「まだ戦争は終わっていないわ」
「さあ、もっと殺し合いましょう?」
「貴方が望んだ戦いよ」
「貴方が望んだ争いよっ!」
「もう、銃口を向けられないと言うのなら、死になさい」
琴里は心底楽しそうな声で言う。普段の琴里から想像も出来ない姿に士道は混乱する。そして、琴里の元へ士道の足が動こうとした時だった。
「ふざけるなよ、イエローモンキーィィィィッ!!!!」
彼女を中心とした霊力の暴風が吹き荒れる。それは、風の精霊ベルセルクの強風にすら勝らずとも劣らなかった。
「貴様程度に邪魔をされる訳にはいかない!私の!悲願の為にも!」
その言葉と共に彼女の後ろに巨大な樹木が現れた。しかし、それは樹木と言うには不気味すぎる代物であった。幹は黒く腐っているとも枯れているともとれる様相をしており葉に付随する物は存在せず果実の様に様々な武器が実っている。それは、小さな物なら銃や手榴弾、大きい者なら戦車や艦船まで存在した。
そしてその中の一つが彼女と樹木の間に落ちてくる。巨大な兵器が落ちて来た事で地面が揺れるが不思議な事に地面には日々一つ入らなかった。
しかし、そんな事を気にしていられる者はここにはいなかった。何故なら琴里に標準を合わせた巨大な砲塔が存在したからである。
60cmという巨大な砲塔を有する自走砲、カール自走臼砲と呼ばれるそれが琴里に牙を向かんと狙いを定めていた。
「死ね!一片の欠片も残さずこの世から消えろ!」
「何だ、やればできるじゃない」
巨大な砲塔に臆することなく琴里は笑みを浮かべ〈灼爛殲鬼〉を彼女へと向けると炎をチャージしていく。しかし、
「やめろ!琴里!やめてくれ!」
士道が琴里の近くへと行き必死にやめる様に説得する。だが、琴里には士道の声は届いておらずひたすら目の前の彼女に狂気的な笑みを浮かべていた。まるでこの状況を楽しんでいるようにすら見える。普段の彼女、司令官モードの時や普通の妹とも違う一面に士道は後退る。
そして、
「abschieβen!」
「灰燼と化せ!〈|灼爛殲鬼《カマエ
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