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ある晴れた日に
642部分:悪魔その三

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悪魔その三

「そう言うんだよ」
「何か嫌な響きの言葉だな」
「そうね」
 皆ここで顔を曇らせた。
「何ていうかな」
「異常な感じがするっていうか」
「百人に一人だったかな。あれっ、これ前に言ったかな」
 ふとこうも思う竹山だった。
「あのね、たまにそんな割合でいるんだ」
「確かあれだったかしら」
 恵美がそれに応えて言ってきた。
「どんな嘘をついてもどんな悪事を働いても平気な人間がいるのね」
「そういうこと」
 まさにそうだという。
「そういう人間がたまにいるんだよ」
「それが吉見って訳かよ」
「あいつがそれなのか」
「間違いなくそうだと思うよ」
 こうまで言い切る竹山だった。
「かなり重度の人格障害者だね」
「あのさ、前から気になってたけれど」
 ここで静華が彼に問うた。
「いいかしら」
「どうしたの?」
「そういう人間って頭は悪くないのよね」
 このことを真顔で問うのだった。
「そうよね、それは」
「うん、頭はね」 
 その問いにもはっきりと答えられた彼だった。
「いい人間が多いね。知能指数も高かったり」
「それで性格がってこと?」
「そう、要するに思考がおかしいんだ」
 こう説明するのだった。
「性格がおかしい」
「だから人格障害者なのか」
「それで」
「最近になってはっきり認識されてきた話だけれどね」
 それはだというのだ。
「息をするみたいに嘘をついたり自分以外の他人を非常識なまでに馬鹿にしたり」
「そういう人間は」
「人格障害者」
「そう、どんな悪事を働いても全く平気だったりね」
 彼の今の話には根拠があった。世の中にはごく稀にそうした異様な人間が存在し街の中を歩き回っているものなのである。
「そういう人間がね」
「いるんだな」
「嫌な話ね」
「そして吉見親子がそれなんだ」
 またそこに話を戻した。
「そのサイコパスなんだよ。しかも」
「しかも?」
「まだ何かあるの?」
「それも相当重度のね」
 言葉がさらに付け加えられたのだった。
「それで間違いないね」
「重度のサイコパスが相手か」
「それも頭脳はかなりよさそうな」
「これは難しいね」
 加山が述べた。
「覚悟しよう」
「覚悟ね。具体的にはどうしようかしら」
「あのね、いいかな」
 奈々瀬が言ったところで咲が皆に言ってきた。
「ほら、咲の将来の嫁ぎ先」
「ああ、山月堂」
「あそこね」
「あそこのお客さんであいつが来たらね」
 この話をするのだった。

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