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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第030話 6日目・2月05日『迷走する思い』
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れないけど、それでも今まで僕たちが住んできた家だからな。
だから僕も手始めに料理の一つも覚えないといけないと思ってな。こうして桜に教えてもらっているところなんだ」
「そっか。うん、いいと思うな」
「はい。兄さんは筋は私よりいいですからすぐに料理は習得できると思うんです」
「はっ、僕だっていざとなれば料理の一つや二つはわけないさ」
そう言いつつその慎二の指にはいくつか絆創膏が貼られているのを見て志郎はクスッと笑う。
「まるで私のところに初めて来たときの桜みたいだね」
「あっ! 先輩、それは言わないでください! 恥ずかしいですから………」
「ごめんごめん」
志郎が桜に謝っているとそこに遅れて凛がやってきた。
「ああーーー………志郎、おはようぅ………牛乳ある?」
そこにはいつも通りというべきかパジャマ姿のその人をも殺せそうな死んだ魚の目をした凜の姿があった。
まだ寝ぼけているのだろうか? そんな姿に桜と慎二は面を食らって茫然としていた。
「凛さん凛さんッ! もう寝ぼけてないで! 桜と慎二くんがいるんだよ!」
「………え? ッ!?」
そこで完全に目を覚ましたのかどんどんと顔が赤くなっていく凛。
「う………」
「う?」
「うわわわわっ!?」
凛は珍しい奇声を上げながら部屋へと走って行ってしまった。
そんな姿も珍しかったのだろう。
慎二は茫然としながら、
「遠坂って朝に弱かったんだな………」
「はい。びっくりしました………」
「あはは………。多分少ししたら元通りになっていると思うからあまり触れないようにね」
志郎の言葉にこくこくと頷く桜と慎二の二人であった。
そこに遅れてアーチャーが居間へと姿を現す。
「衛宮志郎。こちらに凛がこなかったかね?」
「ッ!」
「む? どうした、急に体を硬直させて………?」
「う、ううん! なんでもないよアーチャー! うん………なんでもない。凛さんなら部屋に戻っていったよ」
「ん、そうか。わかった」
そう言って部屋のある方へと歩いていくアーチャー。
そのアーチャーの後姿を見て思わず志郎は、
「あの! アーチャー!」
「む、どうしたかね?」
「その、ね………その………おは、よう………」
顔を赤らめながらも朝の挨拶をする少ししおらしい志郎の姿に少し違和感を覚えたアーチャーだったが、
「ああ、おはよう」
返事を返して今度こそアーチャーは凜の後を追っていった。
それを見送って少しため息をつく志郎。
そんな志郎の肩にいつから見ていたのかセイバーが手を置いて、
「よく我慢できましたね、シロ」
「うん………」
志郎はアーチャーの事を兄として意識してしまっていた。
だがなんとか堪えることができた
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