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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第030話 6日目・2月05日『迷走する思い』
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当然だ。
その聖杯によってエミヤシロウという男の人生は狂わされシロという家族も失い、どういう経緯を至ったか分からないが自分殺しを願うほどにまで心が摩耗してしまったのか。
おそらく正義の味方という言葉が関係してきているのだろう。
もっと彼の最後を聞くべきだったか。
今からでも遅くない。アーチャーに話を聞きに行くことも吝かではない。
しかし、シロも断片的にだが真実を知ってしまった。
だから私はもうアーチャーに話を聞く機会もあまりないだろう。
シロのサポートと心のケアに当たらなければこのままではシロが壊れてしまう。
セイバーはそう思い、今回は私ではアーチャーは救えないと感じ、ならシロとアーチャーの事の成り行きを見守る。
それが今の私にできる最大限の仕事だ。
そう、セイバーは割り切った。


「………ねぇ、セイバーは、アーチャーがシロウ兄さんだって、知っていたの………?」
「………はい、シロ。あの夜に聞かされていたのです。今まで隠していてすみませんでした」

目に光がない志郎にそう聞かれて申し訳ない気持ちになりながらもセイバーは謝罪した。
やはり、志郎の心に傷が入ってしまった。
それで志郎は「そっか………」と悲し気に呟く。
そんな志郎の姿にいてもたってもいられずにセイバーは再度抱きしめながら、

「大丈夫です、シロ。彼は、シロウはあなたの味方です。ですから心が落ち着いたら彼と話しましょうか」

セイバーのその申し出は志郎にとっては願ったりの事であったが、

「ううん………。私は、兄さんを困らせたくない。もう英霊となってしまった兄さんにはきっと私の想いも届かない。だから………」
「シロ………ですが」
「そんな悲しそうな顔をしないで、セイバー。大丈夫………もう少ししたらいつも通りの私に戻るから。でも、だからもう少しだけ私を抱きしめて………」

未だに震える志郎の体をセイバーは無言で抱きしめてあげた。
このか弱い少女にいつか救いがありますようにとセイバーは願わずにはいられなかった。



………………
……………
…………



それから志郎は心にメッキでもいい、偽りの仮面を被っていつも通りに振る舞うようにした。
志郎が居間に着くとそこからはいい匂いがしてきた。
キッチンへと足を運ぶとそこでは桜は当然として慎二が一緒になって料理を作っていた。

「え? 慎二くん………?」
「ああ、衛宮か。おはよう」
「おはようございます、先輩」
「お、おはよう………。それよりどうしたの慎二くん? 桜と一緒に料理なんて」
「いや、お爺様がもういなくなった以上は僕が間桐の家を切り盛りしないといけないからね。
あそこにはつらい思い出しかない………だからいずれは遠坂に財産以外は土地を譲るかもし
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