暁 〜小説投稿サイト〜
【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第030話 6日目・2月05日『迷走する思い』
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
………志郎は昨日から一睡も出来ていなかった。
セイバーに抱きしめられながら寝ようと思うが寝る事も出来ずに気が付けば窓から光が差してきていた。
昨日の夜に志郎は凛の元へと桜の一件が解決したために今度はイリヤ姉さんに対しての対策を練りにセイバーとともに向かっていたのだ。
だが、部屋に近づいてきたところでセイバーがいきなりキャスターのフードを被せてきて何事だと思った矢先に部屋の中の会話が聞こえてきてしまった。

『昨日………あなたの、生前のエミヤシロウの過去を夢で見たわ』

凛のその一言で志郎の頭は一瞬で真っ白になった。
エミヤ、シロウ………?
シロウって、まさか、そんな………アーチャーの正体ってまさか………。
それからも次々と明かされる話。


『別に………。見られたのなら別に隠す必要はないさ。私は心の底から過去の自身を恨んでいるのはもう話したな? 私の真の目的も』
『自分殺し………。でも、そんな事をしてもただの八つ当たりよ?』
『そんなことは先刻承知済みだ。それでも私はそれに綴るしかもう希望が見いだせないのだよ』
『でも、この世界のあなたは………』
『ああ。志郎を守ってすでにこの世にいないことは知っている。だから私は志郎のことを………』

アーチャー………いえ、シロウ。つまり士郎兄さんの聖杯への願いは自分自身の殺害?
どうして、兄さんがそんな事を思うほどにまで切羽詰まってしまったの………?
断片的にしか語られない話だが、それでも志郎にとっては衝撃は十分だった。
思わず眩暈がして志郎は壁に手を着いてしまった。
それでセイバーが小声で『まずいッ!』と言って私の存在を悟られないように自ら名乗り出たのだ。
それからはなんとかセイバーに話を任せられたが志郎はショックからか体を震わせていたためにセイバーと一緒に布団で寝ることになったのだ。


………そして、一見冷静そうに志郎を宥めていたセイバーでさえ顔には出さないがショックを受けていたのは言うまでもない。
あのアーチャーが語ってくれた夜の話にはまだ続きがあったのだ。
確かにアーチャーはセイバーや衛宮切嗣といった聖杯戦争関係者には恨みは一切抱いていないというのは本当だろう。
だが、目的が自分殺しなどと聞かされてしまっては心穏やかにはいられなかった。
どうして話してくれなかった………?という言葉はセイバーにはおそらく言えないだろう。
アーチャーの願いはセイバーの願いとあまりにも酷似していた。
過去の自身を無かったことにしようという願いはセイバーにも通ずる願いだからだ。
だからアーチャーを責める事はセイバーにとっては己にも帰ってくる棘のセリフなのだ。
だから無理だ。
私では彼は救えない。
聖杯に願ってしまえばとも思うが彼も聖杯の破壊には異議は唱えていない
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ