暁 〜小説投稿サイト〜
だいたいチーバくんのおかげでややこしくなった話
忘却はよりよき前進を生むが、それを言ったのがニーチェなのかフルーチェなのかはわからない話
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・追試二回の合計三回分の過去問を高速で眺めていく。
 そして宣言どおり五分でチェックを終え、確信を得た。

「やはりな。出ている問題は同じだ」
「ちょっと待て。全部違うだろ?」
「いや。試験攻略の観点で言えば、この三回の試験はすべて同じ問題だ」
「そ、そうか。お前が言うなら、そうなのかな」
「少し出し方を変えているだけなんだ。問題は解くよりも作るほうがずっと労力が必要。作る先生は忙しいだろうし、完全な新作は出してこない。旧作のアレンジのみになるのは自然な話だ」
「……」

「だから君は、この三回分の問題を使って勉強するだけでいい。他は何もしなくていい。それだけで、次の追試については受かるだけでなく、まともな点数≠ェ取れるだろう」
「へー。なんか裏技っぽい」
「ああ。まずは学力アップというよりも、まともな点を取って気持ちよくなることが大切だ。君はそこから始めなければならない。勉強の第一歩はイマジネーションとモチベーションだ」
「気持ちよく、か。わかった」
「僕がナビするから、だまされたと思ってやってみてほしい」
「よろしく頼む」

 直近の追試験が28点で、もっとも合格点に近かった世界史Bからいこう――。
 ということで、総一郎は隼人に対し、設問と解答を声に出して読むように指示した。そして選択問題については、選択肢の内容もすべて読むように、と付け加えた。

「四択で正解を一つ選ぶ問題でも、選択肢を全部見直すのか?」
「そのとおりだ。他の選択肢はなぜ違うのかをはっきりさせる。そうすれば、その一問だけで四問勉強したことと同じになるし、問題を少しアレンジされても対応できるようになる」
「へー……」

 総一郎は、彼が読みあげた設問や回答の選択肢の内容について、こまめに突っ込みや質問をしていった。そして隼人の受け答えやその表情、声のトーンや仕草に至るまで、厳しくチェックをしていった。彼の記憶への定着度がどの程度か確認するためと、会話形式にすることで記憶に残りやすくするためだ。
 覚えていない、もしくは覚えていても怪しいものについては、そこで必ず調べさせた。使う順番はノートが先。それでも載っていないのは教科書を使ってもらった。

 世界史Bが終わったら、他の教科に入る。
 やることは同じ。三回の過去問の徹底的な見直し。他はいっさいやらない。

「よし。今日はここまでにしよう」
「あー! つかれたー!」

 総一郎が終了宣言したときには、完全に夜になっていた。時間の都合もあり、ほぼ休憩なしだった。
 野球部で体力があるとはいえ、また違うエネルギーを使うのだろう。彼が大きく伸びをして、後ろにバタンと仰向けで寝ころんだ。

「はは。それは集中した証だと思…………!?」

 総一郎はねぎらいの言葉をか
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