忘却はよりよき前進を生むが、それを言ったのがニーチェなのかフルーチェなのかはわからない話
[6/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
引きされそうなので、きちんとした襟付きのシャツを着た。トランクスも今日はチーバくん柄だったが、シャワー後にディープブルーのシンプルなものに変更した。穴はない。
隼人が円卓の前であぐら座りした。
そして学ランの詰襟が苦しいということで、上を脱いだ。
脱いだ中身はワイシャツではなく、白いTシャツだった。
(ワイシャツはバッグの中か……? 学ランの下にTシャツ一枚だったのか)
Tシャツ姿はもちろん初披露だ。
総一郎は円卓を挟んで……ではなく、隼人から九十度ほど回ったところに座った。真向かいではなく、彼の右斜め向かいである。
円卓はさほど大きくないので、生腕が近い。
(なんかエロいぞ……)
前腕は明らかに文化系の学生とは異質だ。構成要素が脂肪ではなく筋肉というのが一目見てわかる。
上腕も、あまり袖が長くないTシャツなので、かなり上の部分まで見えている。いつも部活ではアンダーウエアを着けているのか、あまり日焼けはしておらず、いわゆるポッキー焼けのような感じにはなっていない。だが、ゆるやかに色が移行している境界部は見て取れ、それが妙に刺激的だった。胸のたくましさや腹部の引き締まりも、学ラン越しよりずっとリアルに伝わってくる。
(鼻血注意だな。ここで出たら人生終了だ)
気を引き締め、隼人に話しかけようとした……が。
彼が胸を押さえて深呼吸をしている。
「ん、どうした? 隼人君」
「いや、緊張したなーって。ほら俺、お前んちに来るの初めてだし」
「緊張か。まあ初めてというのは緊張するだろうな」
お互いにな、と総一郎は心の中で付け加える。
「さて、時間もないことだし、始めようか」
「そ、そうだな……って、お茶かよ?」
彼の手に握られているのは、シャーペンではなく湯のみ。円卓の上におかれているのは、お茶と茶菓子のみだった。今のところは筆記用具すら置かれていない。
「ああ。今日はまず打ち合わせに時間を使おう」
「打ち合わせ?」
「そうだ。なぜ君が点数を取れないのか、その理由を見極めないといけない」
「理由、か。考えたこともなかったなあ」
腕を組んだ彼。
「まず、テスト勉強はいつもどうやっている?」
「どうやってって……教科書を見直して、ノートを見直して……」
「……。それで点が取れていないわけだよな?」
「取れてないな、まったく」
「では……。仮に部活の時間が縮まって、勉強時間を今より増やせるとしよう。そうなったときに点が取れそうな気はするのかな」
「取れる気はしないかなー。やっぱり俺、頭がちょっと。もし取れたら友達がびっくりしすぎてショック死しそう」
笑いながら頭を掻く隼人。
彼は照れたり恥ずかしがったりするとすぐに頭を掻
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ