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だいたいチーバくんのおかげでややこしくなった話
忘却はよりよき前進を生むが、それを言ったのがニーチェなのかフルーチェなのかはわからない話
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合うと同時に消し飛んだ。
 彼の頬がやや赤く染まっていたためである。

(ああ、だめだ。これで困惑するのは彼に失礼だ)

 総一郎は頭の中をニュートラルに戻した。
 目の前の彼は、本当に恥ずかしそうに言っているように見える。彼はこちらの問いに対し、ごまかすことだってできた。なのに彼はそうしなかった。
 弱みを晒し、自身でも恥ずかしいと感じていたことを言ってくれた――それは信頼の証でもある。

(今突きつけられている状況。これはきっと天が授けた試験に違いない)

 彼は信頼の証を見せてくれた。
 そして今、自分はそれに対する返し方を試されている状況だったのだ。
 言うなれば天からの一学期中間試験。ここで赤点を取っているようでは二人の仲に未来はない。

(危なかった)

 総一郎は、意識的にぐっと顔を引き締めた。
 彼の信頼を裏切ることがあってはならない。ここは正確かつスピーディなフォローで応えるべきだ。

「隼人君。この前ネットで見たデータによれば、高校野球部の週当たりの平均活動日数は6.6日。これは全種目の中で最高の数字だ。そして平日一日あたりの平均活動時間は3.4時間で、やはり最高。休日一日あたりの平均活動時間に至っては7.7時間で、二位のバレーボール部4.9時間を大きく引き離し断トツの一位。君の学校も例外ではないのだろう?」

 ニュースサイトや新聞の閲覧で築きあげてきた頭の中のデータベースを高速検索し、具体的な数値を出した。
 野球部はとにかく勉強に充てられる時間がない。それが他の部活との差であり、ディスアドバンテージなのだ。

「そんな数字よく知ってるなー。ま、うちも多分例外じゃないけど」
「そうか。ならば学業が犠牲になるのは仕方のない部分もある。赤点は断じて恥ずかしいものではない」

(よし。フォローは完璧だ。『合格点』は取れただろう)

 内心でニンマリした総一郎だったが、そこでこの話は終了とはならなかった。
 隼人はさらに返してきた。

「でも、できるやつもいるからなあ。俺、頭悪くってさ。困っちゃうよな」
「……」

 困っちゃう。
 アハハと照れ笑いする彼を前に、その彼の言葉が総一郎の中で残響する。

(これはSOSサインか)

 彼は勉強ができなくて困っていると言っている。
 そう。困っているのだ。
 相手が困っていれば……。

(助けるのがパートナーというものだろうな)

 幸いにも、自分は入学以来、学年一番をキープし続けている。自分で言うのは気がひけるが、勉強ができると言っておそらく間違いはない。ここで彼を救う役は、自分が最適……
 ……いや、自分以外にありえないのではないか? 総一郎はそう思った。

 学校が違うので教室で教えることは不
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