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ユア・ブラッド・マイン─焔の騎士は焦土に佇む─
第五話 高等部入学式
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冴空。それに対して氷絃は少しだけ複雑な表情で頷く。

「可愛いな。でも凛々しさもあるから新鮮だな」
「えへへ、ならよかったです!」
「だけど」

 そこで言葉を切って氷絃は恥ずかしそうに顔を背けてボソッと呟く。

「それをしたのが俺じゃないから、少し嫉妬する……な」
「な、なら! 今度お願いしますね、氷絃くん!」

 その言葉を聞いた冴空はやや食いつくように身を乗り出してお願いする。

「……悪いな、気を遣わせたか?」
「そ、そんなことないです! 純粋に……氷絃くんにしてほしかったので……」
「ありがとな。それじゃ、行くか」
「はい!」

 氷絃は冴空の頭を軽くポンと撫でて五分もすれば到着する学園を目指して歩きだした。

「そういえば姉さんが月曜日にまた来るって連絡があった」
「本当ですか! 炎火さんとまた会えるんですね!」

 道中、氷絃はつい先程電話した姉のことを冴空に話すと氷絃が見えたときと同じくらい嬉しそうな顔で反応する。

「冴空は本当に姉さんの事が好きだな」
「勿論です! 優しくて綺麗で大人で家事もできて大好きです。本当、憧れのお姉さんです!」
「優しくて綺麗で大人で家事ができる。か……?」

 姉を崇める彼女の言葉を繰り返して氷絃は十歳以上歳の離れた姉を思い出す。

 ──確かに優しくて美人だけど、負けず嫌いで子供っぽくてイタズラもする上に家事なら冴空の方ができるよな……?

 小学生の(自分)相手に七並べでムキになって涙目になったことや間違えてアイスを食った時にギャン泣きしたこと、そしてカレーに鯖の味噌煮を入れたことを思い出した氷絃はボソッ呟く。

「……やっぱ冴空だな」
「何がですか?」
「いや、なんでもない」

 尤も、負けず嫌いは自分も冴空もその姉から受け継いだなと思いながら氷絃は冴空と会話をしていると学園に到着した。

「最初は教室に行くんだったか」
「そうですね。製鉄師科校舎六階の1-Cです」
「今年も同じクラスでよかったな」
「はい。氷絃くんと離れなくてよかったです!」

 ずっと笑顔の冴空を見て可愛いな本当にと思いながら氷絃は彼女と共に教室に到着。二十分ほど経つと丁度良い時間になったので氷絃らは入学式の待機場所である第二体育館で待機。ここで出席番号順に並べという指示があったため氷絃は最前列の二番目となり冴空と離れた。

「……寿司でも佐川でも佐鳴でもいいから俺の名字を変えてくれねぇかな」

 冴空と離れた氷絃はそんなことをボソッと呟くと隣に来た出席番号一番の女子生徒にクスッと笑われた。それに氷絃はチラッと視線をやるとその女子生徒はハッとして謝罪してきた。

「ご、ごめん。あんなに真剣な顔して名字を変えてほしいなんて言う人初
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