第五十三話 おさづけの理その二十六
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「そうした人なのに」
「ですから人それぞれですね」
「見るものが違うっていうのね」
「僕もそう思いました、実は先輩を待っている間白石さんとお話をして」
そしてというのです。
「そうしたこと言われたんです」
「その人それぞれの見るものがあって」
「人への評価も変わるって」
「そういうことね」
「それに僕は長池先輩って人とはお会いしましたが」
私と一緒にいた時のことです、あの時のことは今も覚えています。
「先輩はずっとですとね」
「そうよ、一年の間ね」
「寮で毎日でしたから」
「それでなのよ」
私ははっきり言えるのです。
「尊敬出来る方よ」
「そこまでの人なんですね」
「そうよ、だからね」
「僕が思っていることは誤解ですか」
「誤解も誤解よ」
私は阿波野君に言いました。
「ちゃんとじっくりお話すればわかるから」
「いい人だってことはですか」
「一回お会いしただけでわかる筈ないでしょ」
とはいっても私にとって先輩は第一印象から凄くいい人でした、とても親切でしかもお奇麗だったのでこんないい先輩いるのねと思った位です。
「人は何年一緒にいてもわからないことだってあるし」
「あっ、それありますね」
「そうでしょ、こんな一面あるんだってね」
「思うことありますよね」
「だからね」
私は阿波野君にこうも言いました。
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