第百二話 大社の中でその十二
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「わかりました」
「それで関西弁でごわすが」
「それぞれの地域の方言がありますか」
「大阪でも微妙に違うでごわす」
北原はヴォネガットにも話した。
「それぞれの地域で」
「大阪の中でも」
「大阪は元々摂津、河内、和泉に分かれていたでごわす」
「この世界でそうなのは」
「この世界の日本の地域区分はおいどん達が起きている世界の昔のものでごわす」
江戸時代までのものであるのだ。
「だからでごわす」
「その摂津、河内、和泉は」
「それぞれ方言が違っていたでごわす」
「同じ大阪でも」
「かなり似ているでごわすが」
それでもというのだ。
「違う部分もあるでごわす」
「ほんまにそれぞれの方言ですか」
「そうなっているでごわす」
「それで僕達の日本語は」
ギンズバーグも述べた。
「関西弁でも」
「標準のそれと言えるでごわす」
「そうですか」
「試しに大阪と京都の言葉を聞き比べるといいでごわす」
「そうすればですか」
「よくわかるでごわす」
「こっちの世界で言うと大坂と都ですね」
ギンズバーグは自分達が今射る世界のことからも話した。
「こっちの世界でも確かめらますか」
「そうでごわす」
「ほな夏目さんと中原さんから」
「夏目君は違うでごわす」
「あの人都の人ですけど」
「公達でごわす」
この職業であるというのだ。
「それでお公家さんの言葉でごわす」
「都の方言とちゃいますか」
「都の言葉でもまた違う言葉でごわす」
「そうなんですか」
「おじゃるとは普通の都の人はつけないでごわす」
言葉の中にというのだ。
「そうでごわすよ」
「そうですか」
「だから夏目君はまた別の言葉でごわす」
「そのことはですか」
「わかっていておくことでごわす」
「ほな」
ギンズバーグも頷いた、公家言葉というものもわかって。
それでだ、今度はジェーンが言った。
「日本語は方言まで一杯あって」
「難しいでごわすな」
「こっちの世界では普通に話せてますけど」
「あっちの世界ではでごわすな」
「いや、喋って読み書きまで随分と苦労しました」
「海外から来た人皆が言うでごわすな」
八条学園の約半数を占める彼等がというのだ。
「日本語は難しいと」
「実際に難しいです」
ジェーンは即答で応えた。
「それもかなり」
「英語以上にでごわすな」
「日本人は英語難しいって言いますけど」
「おいどんも思っているでごわす」
尚北原の英語の成績はいい方である、全体的に成績優秀であり学園では真面目な生徒として評判である。
「そんことは」
「そうですね、ですが」
「日本語の方がですか」
「難しいです」
こう北原に話すのだった。
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