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戦国異伝供書
第五十一話 関東管領就任その十六

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「この度はじゃ」
「相模に向かって」
「長尾殿を退かせてな」
「あらためてですか」
「川中島でじゃ」
 この地でというのだ。
「雌雄を決することになろう」
「左様でありますな、ならばそれがしも」
「うむ、お主もな」
「その時は死力を尽くし」
 幸村は父に語った。
「そのうえで」
「戦ってじゃな」
「お館様に勝ちを」
「そうせよ、お主の強さがあれば」
 幸村の武勇、それがというのだ。
「必ず大きなことを果たせる」
「はい、では」
「お主には十勇士もおるしな」
 彼等のことも言うのだった。
「必ず大きなことを果たせる」
「あの者達は拙者にとって家臣であるだけでなく」
 さらにとだ、幸村は父に話した。
「義兄弟であり友でもある」
「これ以上はない者達であるな」
「死ぬ時と場所は同じであると誓い合った」
「その者達もおる、ならばな」
「はい、長尾殿と雌雄を決する時は」
「お主も存分に戦うのだ」
「その様に」
「そしてお主はさらに学び鍛錬をせよ」
 その双方に励めと言うのだった。
「よいな」
「そしてより高みにですか」
「至るのじゃ、お館様ひいては武田家の為にな」
「さすれば」
「天下人になられるのはお館様じゃ」 
 昌幸は確信を以て言い切った。
「他のどの御仁でもない」
「その通りです、お館様の政と軍の采配を見れば」
「あの方以外にないな」
「拙者もそう思いまする」
「だからじゃ、よいな」
「はい、それがしお館様に天下人になって頂く為に戦います」
 幸村は父に誓った、そうして彼も相模に向かうのだった。政虎は今まさに小田原攻めにかかろうとしていたが武田がここで動いたのだった。


第五十一話   完


                 2019・5・24
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