第百六十三話
[8]前話 [2]次話
第百六十三話 鉄分
華奈子と美奈子は家で自分達の母親が出してくれたそのおやつを見てまずは怪訝な顔になった、そのうえで母に尋ねた。
「お母さんこれ何?」
「これ何なの?」
「果物みたいだけれど」
「はじめて見るわ」
「プルーンよ」
それだとだ、母は答えた。
「果物よ」
「ううん、色は葡萄に似てる?」
「そうよね」
華奈子と美奈子はそのプルーンを見てこうも言った。
「何かね」
「形は何かね」
「大きなさくらんぼというか」
「葡萄の房の大きいの?」
「そんな風ね」
「どうもね」
「そうね、色は葡萄に似てるけれど」
母親もこう答えた。
「また違うから」
「そうなのね」
「別のものなのね」
「そうよ、味も全然違うから」
こちらもというのだ。
「食べてね、あとね」
「あと?」
「あとっていうと」
「栄養もあるから」
プルーンにはというのだ。
「ビタミンもあるしお通じにもいいのよ」
「お通じって」
「そんなになの」
「そうした意味でも健康にいいから」
それでというのだ。
「食べてね」
「別にお通じはね」
「それはね」
双子ははあの今の言葉には顔を見合わせて話した、女の子としてそうした話はとも思ったからである。
「私達の場合はね」
「別に気にしてないけれど」
「ビタミンがあるなら」
「食べましょう」
「鉄分があるから」
それでというのだ。
「お通じもいいのよ。とにかく食べてね」
「身体にいいならね」
「是非ね」
「しかも美味しいから」
こう言ってだった、華奈子と美奈子の母親は今日のおやつにプルーンを出した。一緒に出した牛乳もおやつだった。
第百六十三話 完
2019・5・30
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ