第十二幕その六
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「先生の柄じゃないね」
「そうだね」
「うん、そういうのじゃなくて」
「僕が女の人と交際するとなると」
「一人の人とね」
「ずっとだね」
「そうなるね」
こう先生に言うのでした。
「本当に」
「うん、というか女の人と交際したことがないから」
そもそもというのです。
「僕はね」
「そうだね、というかね」
「若しもだね」
「縁が出来たら」
その時はというのです。
「先生もね」
「その人とだね」
「一途に交際をして」
「結婚をして」
「幸せになるべきで」
「その人はだね」
「もうね」
既にというのです。
「先生の近くにいるかもね」
「そうであるといいね」
「幸い日本は宗教に寛容だから」
ここでこうも言った王子でした。
「宗教が違ってもね」
「うん、結婚する人とね」
「大抵問題にならないよ」
「そう、日本では夫婦で宗教が違うこともね」
「多いよね」
「ご主人が浄土真宗で奥さんが臨済宗とかね」
「普通にあるよね」
「もうそれは当たり前でね」
それこそ何でもないことです。
「仏教徒の人が神社にお参りしてもね」
「何でもないね」
「天理教の会長さんが神社の神主さんやお寺のお坊さんとお付き合いがあっても」
「何でもないね」
「牧師さんと神父さんが一緒のお酒を飲むこともね」
「普通のことで」
「カトリックの人とプロテスタントの人が結婚しても」
こうしたことがあってもというのです。
「本当にね」
「何でもないね」
「日本だとね」
「だからね」
「僕は国教会だけれど」
「奥さんがどの宗教でもね」
その違いはというのです。
「何でもないことだから」
「宗教面で結婚のことはだね」
「気にしなくていいから」
「そのこともいいことだね」
「奥さんが改宗しなくてもいいし」
「僕もだね」
「そうした心配は無用だから」
「そのことでも結婚しやすいから」
「だからね」
それでというのです。
「先生も日本での結婚をね」
「考えるべきだね」
「もう日本に永住するつもりだね」
「実はもう国籍もね」
最も重要なこの問題もというのです。
「そろそろね」
「日本にしようって考えてるね」
「大学教授という職業もあるしね」
「そちらのことはだね」
「何でも僕が悪いことをしないとね」
そうしたことをしない限りはというのです。
「保証されているそうだから」
「それじゃあだね」
「うん、日本にすっかり入ったし」
身体も心もです。
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