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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第028話 5日目・2月04日『救い』
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――Interlude



慎二は間桐臓硯からとある事を深夜に言い渡されていた。

「お爺様、こんな夜更けに何の用ですか………?」
「カッカッカッ。言わんでもわかっていることじゃろう? 慎二よ。お主は今日の夕暮れ時に衛宮と遠坂の小娘二人からみすみす逃げ帰ってきたことをな」
「ッ………」

それで慎二は苦い表情になる。
当然か。直接見られていてしかも脅迫までされて戦闘行動を取らざるをえなかったのだから。

「ククク………。儂は別に怒っているわけではないのだぞ? 逃げも一つの戦法じゃ。恥を忍んで耐え続ければ勝てぬ戦もどう転ぶかは分からんものじゃ」
「………」

慎二は間桐臓硯の語りにただ沈黙だけを貫いていた。

「じゃがの………慎二、お主の魂胆などとうに分かっているのじゃ。
桜を間桐の家から解放したい、そうじゃろう?」
「………わかっているのならなぜ今こうして見逃してくれるのですか?」
「なぁに………歳を取るとついつい面白い物には興味をそそられての。
慎二………お主の行動はまことに面白い。まるで十年前の雁夜を見ているようじゃよ。
本当に道化に過ぎるのじゃ。だが、それが面白うての」
「何が言いたいんですか………?」
「儂の寝首を取ろうとしているようじゃがその反骨心は嫌いではない。
お主は雁夜よりも理性的に行動している。あやつはなにかにつけて桜を解放しろと感情的にほざき散らしておった。いささか耳障りが過ぎた。
だがお前は野心があろうともうまくそれを手なずけておる。
そんなお前に対して『踏み絵』に似た命令を今からしようと思う」
「踏み絵………?」
「そう、踏み絵じゃ。お主は被害者を出さないように行動しておる事はわかっておる。そんなお主にこういった事を言うのはいささか老骨には堪えるが、仕方がない………」

そう言いつつ間桐臓硯はその皺がある表情の口元を弧に歪めて言う。

「慎二よ。翌の日にお主の学園をライダーの宝具で襲うのだ」
「なっ!?」
「それを遂げることでお主への疑惑の目を少しは和らげてやろう。カカカ、なんと優しいのじゃ儂は………可愛い孫には素直なままでいてもらいたいものじゃからの」

そう言って間桐臓硯はひとしきりその場で奇声にも似た笑いをする。
それを言われた慎二はそれどころではなく冷静ではいられなくなっていた。

「(くっ………お爺様の目を逸らせるためにわざと設置した魔法陣が裏目に出るなんて………)」

思わず拳を握りしめる慎二であった。
だがそこで天啓とも言える思い付きをする。

「(そうだ………。今日、衛宮は僕と衛宮の間でしか分からない秘密の合図を僕に対して行った………つまり、そう言う事なのか? 衛宮?)」

慎二は過去にどうやって桜を救うか
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