第六十五話 新たな旅路
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
アベルの体調はどんどんとよくなり、1週間後には剣を触れるまでに良くなった。医者が言うには、アベルの体は元々長い間石になっていたから8年前と全く変わらなくて、今まで動けなかったのはむしろ8年という歳月で心が擦り減っていたからだそうだ。
ビアンカも早くしないとアベルより酷い事になってしまうかもしれない。一刻も早くビアンカの居場所を特定する必要があり、その為の会議がアベルも交えて開かれた。
「アベルは石にされている間にビアンカがどうなったか記憶に無いの?」
「……実は石にされて直後の記憶は断片的かつ曖昧にしか無いんだ、すまない……。ただ教団の売り物として扱われたのは僕一人だけだった気がする」
「なるほど、わかったわ。ありがとう」
確かに今までのルドマンさん達による調査では、今まで光の教団が売ってきた物の内容を把握できたもののその中に『女性の石像』なんてものは無かった。
「そしてビアンカが光の教団の本拠地にいるのなら、場所はあそこしかない。セントベレス山。あそこは光の教団が多くの奴隷を攫ってきて無理やり大神殿を建設させてる」
そう語るアベルの顔は険しく、硬い声には光の教団への憎しみと嫌悪が込められていた。
「セントベレス山に光の教団の本拠地がある。これは確かね。けどセントベレス山は人では登る事のできない程高い山。どうすれば……」
「アベル王、空を飛べる魔物に連れて行ってもらうという方法はいかかですかな?」
そう提案したのはかつて国王代理だったオジロンさんだった。今では大臣になり、国王代理だった時以上に働いている。
「いや、無理だ。一人程度ならともかく何人もは連れて行けないし、武装をしていればそれだけ負担がかかる。空を飛んでいくにしたって標高が高すぎる」
「そうか……。そうなるとどうするべきか……」
中々有意義な提案が思いつかず、しばらくの間無意味な沈黙が続いたが、それを打ち破ったのはサンチョさんだった。
「そうだエルヘブンですよ、アベル王。マーサ様の故郷の!」
「エルヘブン?」
「ええ。マーサ様は不思議な力を持っており、エルヘブンの里はその秘法を代々伝えてきたと聞きます。もしかしたらセントベレス山へ行く方法も何かわかるかもしれませんし、マーサ様の息子のアベル王にならきっと力を貸してくれるはずです」
「なるほど……。確かにそうだな。準備が出来次第エルヘブンへと向かう。エルヘブンの位置は?」
「ここでございます」
サンチョさんが壁に貼り出された世界地図の一点を指した。その場所は私達がストロスの杖を取りに行った最果ての祠がある大陸だった。
「グランバニアから外界に出て、西の大陸にある海の神殿を経由する事でエルヘブンに行く事が出来ます」
「わかった。ありがとう、サンチョ」
「アベル王のお役に立てて光栄でございます
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ