暁 〜小説投稿サイト〜
ユア・ブラッド・マイン―鬼と煉獄のカタストロフ―
episode7『警鐘』
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
います」

「ああ。悪いね、急な話を持ち掛けて。おじさん達はこれで失礼するけど……まあ、ゆっくり考えてくれや」

 ぽんぽんとシンの頭を軽く叩いた典厩はベンチから立ち上がると、ひょいと街花を両腕に抱える形で持ち上げると、ここは二階だというのに窓へ足を掛ける。一体何を、なんて問う暇すらなく強烈な風がシンの全身を打って、思わず両腕で顔を覆い隠してしまう。

 風が止んで再び目を開ければ、もうそこには誰もいない。残っているのは、廊下にたった一枚残された真っ黒な羽のみ。

 呆然と立ち尽くすシンの脳裏に、先ほどのやりとりが想起される。製鉄師、契約、魔女――とうの昔に諦めてしまったそんな世界からの思わぬ呼びかけも、しかし今や虚しく感じるだけのものだった。

 無理だ、不可能だ。製鉄師になるなど、この(せかい)を切り捨てるなど出来ない。そうしようとすれば、再び“罰”が下るだけなのだ。

 ――いずれ確実に起きると予想される崩界(モルフォーゼ)現象の防止のためにも――

「……っ」

 逃れようとすれば、罰が待つ。だが待ち続ければ、その先に待っているのも破滅だけ。

 ならば、ならば一体。

 ――どうすれば、良いというのだろうか。



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ