episode7『警鐘』
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います」
「ああ。悪いね、急な話を持ち掛けて。おじさん達はこれで失礼するけど……まあ、ゆっくり考えてくれや」
ぽんぽんとシンの頭を軽く叩いた典厩はベンチから立ち上がると、ひょいと街花を両腕に抱える形で持ち上げると、ここは二階だというのに窓へ足を掛ける。一体何を、なんて問う暇すらなく強烈な風がシンの全身を打って、思わず両腕で顔を覆い隠してしまう。
風が止んで再び目を開ければ、もうそこには誰もいない。残っているのは、廊下にたった一枚残された真っ黒な羽のみ。
呆然と立ち尽くすシンの脳裏に、先ほどのやりとりが想起される。製鉄師、契約、魔女――とうの昔に諦めてしまったそんな世界からの思わぬ呼びかけも、しかし今や虚しく感じるだけのものだった。
無理だ、不可能だ。製鉄師になるなど、この鬼を切り捨てるなど出来ない。そうしようとすれば、再び“罰”が下るだけなのだ。
――いずれ確実に起きると予想される崩界現象の防止のためにも――
「……っ」
逃れようとすれば、罰が待つ。だが待ち続ければ、その先に待っているのも破滅だけ。
ならば、ならば一体。
――どうすれば、良いというのだろうか。
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