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ユア・ブラッド・マイン―鬼と煉獄のカタストロフ―
episode7『警鐘』
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れた女の子だった。

 ――そしてその日以降、二度と会う事は無かった女の子だった。

「『OI(オーバードイメージ)感応外傷』……そんな例外中の例外を観測史上初めて引き起こした君に、黒崎さ……聖銑の学園長が目を付けてね。いずれ確実に起きると予想される崩界(モルフォーゼ)現象の防止のためにも、君には聖憐に来てほしいの」

「……モル、フォーゼ?」

「簡単に言えば、極度に大きな歪む世界を抱えるOI能力者の中で、その世界が暴走しちまう現象……とでも言えばいいのかねぇ。暴走は物質界にも左右して、最後には周囲一帯を巻き込んでボカン。まあ厳密には色々と違うんだが、そんなもんだと思っといてくれや」

 聞きなれない単語を復唱すれば、典厩が横から解説を挟みこんでくる。良く分からないが、要するにOI災害の一つ、という事なのだろうか。
 というか、それよりも話はその後だ。聖憐にシンを招く、という事はつまり、目的など一つしかない。

 この製鉄師達は――いいや、聖憐製鉄師養成学園は、シンを製鉄師にしたい、という事だ。

 或いは話に出ていた東の養成校、聖銑の意向なのかもしれない。だがそこは重要ではないのだ、何よりも大きな問題は、製鉄師になるためには『魔女と契約する』というプロセスを通る以外に成しえない、ということ。
 魔女との契約によって歪む世界(オーバーワールド)を封印し、その世界を力として具現化するのが製鉄師だ。迂回策など存在しないし、そも迂回した時点でそれは製鉄師ではない。

「僕を聖憐に、って……本気で、言ってるんですか」

「勿論、君が契約を拒んでいるという事もトモちゃんから聞いて重々承知してる。でも、悪いけれどこれは関西の治安の維持の為にも必須要項なの……崩界(モルフォーゼ)っていうのは、それだけ重大な被害を齎しかねないって事だけは、頭に入れておいて」

「……っ!」

「ごめんね、脅すようなこと言って。幸い……とはとても言いがたいけど、ミナ(ヒナミ)ちゃんの安全の確保にはまだ時間が掛かる。それまでしっかり考えて、自分の意志で決断してくれると嬉しいな」

 “勿論拘束なんてしないけど、無理やり連れて行くのなんて嫌だしね”なんて続けた街花は、その黒衣の襟のボタンを外して、首元を露出させる。彼女がその首に掛けられた細いチェーンを引っ張り出していくと、やがてその先には十字架の飾りが姿を現した。

 どうやら、魔鉄製の首飾りらしい。街花からそれを受け取った典厩はひょいとシンの首にそれを掛けて、これでよし、なんてぽつりと呟く。

「一応、こりゃお守りだ。契約魔鉄器なんかと同じ魔鉄加工で、精神安定の効果を持ってる。気休めだが前みたいな発作は置きづらくなるだろうさ、身に着けときな」

「……ありがとう、ござ
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