episode7『警鐘』
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りの年齢ではないのだろうが、その仕草一つ一つが妙に大人びている。
白崎という姓から分かる通り二人は夫婦だそうで、かなりの昔から製鉄師として活動していた、通称“第〇世代”と呼ばれる熟練の製鉄師の一組と聞く。
全く覇気を感じさせない典厩の姿からはまるで想像ができないが、なによりあのシスターが信頼を置く人物なのだ。きっと大丈夫だろう、と受け入れるのは容易かった。
「まあ兎も角、知っての通りおじさんたちは彼女……一応こんな場所だし、ミナちゃんって呼んどいたほうが良いかな?彼女を護衛するために来た。けどまあ、それだけが用件って訳でもなくってねぇ」
「……?シスターに何か、用件でも?」
「あぁ、違う違う。まあトモちゃんの顔を見に来たってのもなくはないけど、メインの用事はミナちゃんの護衛――それと、君に話があって来たの。逢魔シン君」
苦笑しながら否定する街花は、シンの頬を指先で指し示すようにトントンとつつく。まるで心当たりのない故に困惑するシンの反応も彼女は想定していたようで、その肩に下げたバッグから大きな封筒を取り出す。封筒の端には『聖銑製鉄師養成学園』の文字が刻まれていたが、確か聖銑学園と言えば関東の方にある製鉄師養成学園ではなかっただろうか。
典厩がこの大阪――否、関西地方一帯の製鉄師志望者の集まる養成校、『聖憐製鉄師養成学園』の学園長であるという話は聞いたが、そのパートナーである筈の街花がなぜ聖銑学園の封筒を?なんて疑問が一瞬浮かぶが、そんなものは即座に消し飛んだ。
それを、見た瞬間に。
「……っ!な、なんで……っ!?」
――それは、数枚の資料。
一番上の資料には、見慣れた鬼の姿があった。横に記載された名は当然『逢魔シン』。出身、年齢、現在居住区、そして経歴。あとは小難しそうな文章がつらつらと書き連ねられている。
どうやらそれは、逢魔シンの全てを調べ尽くした資料であるらしかった。
“だがそんなことはどうでもいい”。
問題は、そのシンの資料に重ねられていた残り数枚の資料の一番上。それもまた、とある人物の情報の全てを記し纏めたもの。そしてそれは、この教会に暮らす誰でもない。
それは、とある少女のものだった。
「……彼女の事を、どこで……っ!?」
「あんまり君の心情的には愉快じゃないでしょうけど、ごめんね。東からの依頼なの、君の経歴と関係人物は粗方洗い出してる。この子の事も、その一環」
その少女は、かつてシンと製鉄師の契約を結ばんとした魔女の少女だった。
二年ほど前にシスターの紹介によって出会った彼女は、魔女として己が役目を果たすと言っていた。護国を使命とする家の生まれだという彼女は、シンをこの鬼から救うと言ってく
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