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英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
第33話
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「そ、その…………エレボニア方面の情報を探る為にラジオを聞いていたんですが、今緊急特報が入って、その内容がユーゲント皇帝陛下が銃撃されたとの事です…………!」
「…………………」
「な――――――」
「何ですって!?」
トワの質問に対してリンデは顔色を悪くして答え、リンデが口にした凶報にアリサ達がそれぞれ血相を変えている中オリヴァルト皇子は呆け、ミュラーは絶句し、サラは信じられない表情で声を上げた。


3時間前――――――

エレボニア帝国西部、ラマール州オルディス地方歓楽都市ラクウェル――――――


〜ラクウェル・広場〜

事件が起こる3時間前、アルスターから最も近い都市であるラクウェルの民達がアルスターの事件を知った事で抱えているであろう不安を緩和する為に、エレボニア帝国政府はユーゲント皇帝とオズボーン宰相をラクウェルに緊急派遣し、二人がラクウェルがアルスターの二の舞にならない事を演説させる判断を行い、ユーゲント皇帝とオズボーン宰相が広場で設立された臨時の演説場で演説している中、その様子を金茶髪の少年――――――ラクウェルの不良グループのリーダー的存在であるアッシュ・カーバイドが民衆の中に紛れ込んで聞いていた。
(ハッ、普段は夜まで寝ている連中まで演説を聞く為に起きて聞いているなんざ、さすがは皇帝サマと宰相サマってか。)
熱心に二人の演説を聞いている周りのラクウェルの民達の様子を見て嘲笑したアッシュはその場から離れた後懐から銃を取り出した。
(ミゲルのオッサンから預かった探知機に掛からない旧共和国から横流しされてきた樹脂製の火薬式拳銃…………そしてこのタイミングで皇帝と宰相によるラクウェルへの緊急訪問…………お膳立てされたみたいで気に喰わねぇが…………)
銃を取り出したアッシュは銃を手に入れた経緯や現状を考えて不愉快そうな表情をしたが
「ま、贅沢は言ってられねぇか。」
すぐに気を取り直して銃を懐に仕舞ってその場から離れた。

30分後――――――

〜ホテル・VIPルーム〜

30分後演説を終えたユーゲント皇帝はVIPルームでオズボーン宰相から今後の説明を受けていた。
「――――――この段取りで明日に声明を出そうと思っております。」
「簡単に運ぶとも思えぬが…………そなたの事だ。手立ては講じているのだろう。」
説明を聞き終えたユーゲント皇帝は重々しい様子を纏って呟いた後すぐに気を取り直してオズボーン宰相を見つめ
「畏れながら。」
「ぐっ…………!?」
見つめられたオズボーン宰相が恭しく礼をしたその時VIPルームの扉を守っていた軍人達の呻き声が聞こえた後、扉が開かれ、ホテルに働いている従業員から奪った服装を纏って髪形を変えたアッシュが左目を片手で抑えて部屋に入ってきた。

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