15 秀才の兄、病弱の妹
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一人の少年は秀才だった。何もかも物知りで、成績も優秀だった。だからってそれを鼻にかける事もしない。その為か多くの友人ができた。そんな何も悪い事がないように見える彼でも一つの心配事があった。妹の体である。少年の妹は昨年大きな病にかかり、入院沙汰となった。そのせいで妹は進級できなかった。再び一年生をやっているのだ。
「もう一回、一年生なんてやだよう!お兄ちゃん!!」
妹はそう言って泣き続けた。兄は自分の博識さの引き換えなのだろうかと自分を責める事もあった。そして兄は妹が大きな病にかからず、今度こそ彼女を進級させて欲しいと願った・・・。
羽田空港。そこには一人の男性と女性が到着ロビーにいた。
「ここが貴方の国ね、オサム」
オサムと呼ばれた男は答える。
「ああ、戦争に負けてアメリカの言われた通りにした結果、生温い体制になっちまったんだとよ。かくいう俺も日本の敗戦の時は生まれていないがな」
「それで、この日本のどこをターゲットにするというの?」
「静岡の清水って所だよ。そこに俺達の計画を脅かす可能性のある武器があって、その持ち主を抹殺するという事だ。そして俺達にさらに利用できるであろう奴もいるんだ」
「そう?誰なの?」
「まだ子供だがかなりの物知りだ。上手くこっちの物にできればの話だが・・・」
「まあ、やるしかないわね。ところでどうやって行くの?」
「モノレールってのを使い、そこから山手線って列車を使い、東京駅から新幹線って速い列車を使うよ」
「シンカンセンってそんなに速いの?」
「ああ、『君が生きていた』頃にあった汽車とはえらい違う程だ」
「まあ、何でもいいわ」
二人は静岡県に向けて東京モノレールに乗車した。
梅雨の時期が近づくにつれ、気温も湿度が上がり、暑く感じるようになった。かよ子の家も衣替えを済ませていた。かよ子は水色の半袖ワンピースで登校した。
「あ、かよちゃん、おはよう〜」
途中でまる子、たまえ、土橋とし子に会った。
「まるちゃん、たまちゃん、とし子ちゃん、おはよう!ってああ〜」
かよ子はこけそうになった。
「相変わらずかよちゃんはおっちょこちょいだねえ〜」
(でもまるちゃんも今日体操着忘れそうになっちゃったじゃない・・・)
かよ子のおっちょこちょいを指摘するまる子にたまえは心の中で突っ込んだ。かよ子は四人で登校する事にした。学校に着き、昇降口で四人は長山に出会った。
「あ、長山君おはよう」
とし子が長山を呼んだ。
「やあ、土橋。それからさくら、穂波、山田」
長山は少し元気がなかった。
「どうしたの?元気ないね」
とし子が心配になった。
「うん、実は妹の小春が体壊しちゃって今日学校休んでるんだ」
「そっか、小春ちゃん大変だね」
たまえは長山の妹が気の毒に思っ
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