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ある晴れた日に
629部分:桜の枝を揺さぶってその七

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桜の枝を揺さぶってその七

「そんな風に言われたことなかったのよ」
「大体恵美って近寄りにくい雰囲気あったしね」
「そうそう」
 明日夢と茜はここでまた言い合う、
「どうにもね。雰囲気が硬かったし」
「背が高いし顔立ちも整い過ぎてるし」
「背筋だってぴんとしていて」
 恵美のそのスタイルも関係あることであった。そしてそれだけではなかった。
「成績だって変にいいし運動神経だって凄いし」
「完璧系だったしね」
「孤高ってやつよね」
「そうそう」
 まさにそれだというのである。
「そんな雰囲気だったからどうしてもね」
「言うに言えなくて」
「挨拶だってしにくかったし」
「それで何でなんだよ」
「何で御前等ずっと一緒なんだ?」
 男組がその二人に尋ねる。
「そんな近寄りにくいのとよ」
「何でなんだよ」
「だって幼稚園からの付き合いだし」
「家も近所同士だったし」
 その時からだというのだ。そういう意味では未晴と五人の関係と同じである。
「だからまあそれで」
「その縁でね。私達は一緒なんだけれど」
「これでもよ」
 ここで明日夢は確かに言う。
「絆は凄いんだから」
「一心同体だから、私達」
 言いながら左右から恵美を掴む。すると恵美だけ背が高く後の二人は小柄なのでどうしても彼女だけが目立ってしまう形となった。
「本当にね」
「それは言っておくわ」
「えっ、北乃は最近」
「だよな」
「それはな」
 男組は今の二人の言葉を受けて明日夢をあらためて見るのだった。
「今はあれだろ?中森と」
「実際にできてるんだろ?」
「女同士でな」
「できてないわよ」
「そうよ」
 明日夢だけでなく凛も言ってきた。
「だから私達はね」
「そんな関係じゃないから」
 そしてこのことを強く言うのであった。
「断じて言うけれどね」
「それはないわよ」
「けれどなあ」
「異様にいつもべたべたするからな」
「そうだよな」
 彼等の疑念の源はここにあった。
「それを見たらな」
「やっぱり。どうしてもな」
「そう見えるよ」
「だから私達は別に」
「そういう関係じゃなくて」
 二人共やや必死な顔になっていた。
「ただの友達よ」
「そうよ」
「ああ、それはね」
「その通りよ」
 ここで茜と奈々瀬が出て来て皆に話した。
「この二人そういう気はないから」
「安心していいわよ」
「何だ、そうかよ」
「あからさまに怪しかったけれどな」
「それはなかったんだな」
「当たり前でしょ」
「全く。そんな漫画みたいなことってそうそうないわよ」
 二人はむっとした顔になっていた。

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