第7章:神界大戦
第215話「慈悲なき絶望・前」
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
「(一度、気絶する事になりそうね……)」
ここまで数を増やせば、その反動は計り知れない。
神界でなければ、確実にハーモニクスの分身を戻した瞬間、脳が焼き切れて死んでしまう程の情報量が既にあるだろう。
「(でも、今は倒す事だけに集中よ……!)」
余分な思考はいらないと、奏は目の前の事に集中する。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
それから、神達を全滅させるまであまり時間は掛からなかった。
しかし、疲労はその何十倍もあった。
何せ、全力で戦いつつ、分身も増やしていたのだ。
本来なら一分程でガス欠するような事を戦闘中ずっと持続させていた。
そのため、疲労は大きく蓄積していた。
「(今“Absorb”を使うのは危険すぎるわね……)」
その上で、分身をいつまで出している訳にはいかず、戻す必要があった。
だが、さすがに疲労した状態で戻すのは危険過ぎると判断し、少し休憩する。
「(比較的疲労の少ない分身を警戒にあたらせて、休憩を……)」
その場に座り込んで、奏は休息を取る。
分身に警戒を任せる事で、確実に体力を回復させた。
「(誰か戻ってきてから戻す方が得策ね)」
アブソーブは一部の分身だけ戻す事が出来ない。
万全まで回復しても反動がきついと判断した奏は、司か緋雪が戻ってくるまで分身は出しっぱなしにする事にした。
また、倒した神達がいつ復活するか分からないため、その見張りとしても分身は必要かもしれない事も出しっぱなしの理由の一つだった。
「随分と、悠長だな」
「ッ―――!」
その時、奏は背後に気配を感じた。
同時に振り返りざまにハンドソニックを振るう。
「無駄だ」
「ッ」
“ガギン”と、それはあっさりと阻まれる。
まるで鋼鉄を斬ろうとしたように、障壁でもない肌に阻まれた。
「(堅い!)」
即座に奏は間合いを取り、仕切り直す。
奏に声を掛けた神は、筋骨隆々な体格の大男だった。
まさに鋼鉄の肉体かのような出で立ちに、奏は歯噛みする。
いくら、堅い相手への攻撃手段を会得しているとはいえ、相性が悪いからだ。
「(……どうやって、ここまで接近を……いえ、それ以前に、隔離された……?)」
奏が周囲を見れば、結界らしきもので隔離されていた。
分身と本体が完全に分断されていたのだ。
「接近方法と結界が気になるか?」
「……教えてくれるのかしら?」
情報はあった方がいい。
そう判断して奏は神に耳を傾ける。
「簡単な事だ。隠密行動に長けた神に協力してもらったに過ぎない」
「……そうね。単純な事だったわ……
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ