第7章:神界大戦
第215話「慈悲なき絶望・前」
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、後退する。
だが、それだけだ。
「っ……!」
「遅い!」
次の行動に、間に合わない。
その前に神の“性質”によって阻止される。
「(まだ―――)」
「無駄な足掻きだ」
もし、これが司でなければ、結果は違ったのかもしれない。
「(まだ―――)」
「私はお前を確実に倒すためにイリス様に遣わされた」
奏であれば、ディレイを駆使する事で神の“早さ”に対抗出来ただろう。
緋雪であれば、我武者羅な攻撃で充分な効果を発揮出来ただろう。
優輝や椿達であれば、勘と経験で対処出来ただろう。
「(打開、策を……)」
「お前以外であれば、勝ちの目はあっただろうな」
そのどれにも当てはまらない司だからこそ、今の状況に陥っていた。
今までの神界の戦いでは起きていなかった、“弱点を突いた戦い”。
それが、ついに起きたのだ。
「(何とかして……)」
「チェックメイトだ」
司は知らない。この状況に陥ったのはイリスの策略だと。
司は理解していない。もう、勝ち目など存在しない事を。
司は気づいていない。
「(―――優輝、君……)」
―――もう、自分の“可能性”が、閉ざされている事を。
「はっ……!」
刃が煌めく。
奏は攻撃を避けるように駆けながら、一人の“天使”を切り裂く。
その様子が、いくつもの数繰り広げられている。
「ここで仕留める……!」
司、奏、緋雪の三人でも劣勢だった“天使”の集団+援軍で増えた神数十名。
それを、奏は分身する事で数の差を上回っていた。
本来ならデメリットがあるガードスキル、ハーモニクスを使い、奏は鼠算式に数を増やして神達に対抗したのだ。
「“一心閃”……!」
複数の奏から放たれた一閃によって、“天使”がまた一人墜ちる。
三人では敵わなかった相手でも、数で上回ればこうして優勢に立てた。
「(これで、ようやく倒せるようになるなんて……!)」
否、それでギリギリだった。
数を無制限に増やせる存在は、神界にもいる。
質は神達の方が圧倒的であるため、結局は劣勢のままなのだ。
ただ、その中で勝ち目が出ただけに過ぎない。
「(一人だったら、倒しきれなかった……!)」
奏が一人だった時でも、倒す事は可能だった。
しかし、一人倒した所で、他の神や“天使”を相手にしている内に復活する。
その事もあって、こうして数を増やさなければ勝ち目がなかった
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