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ある晴れた日に
625部分:桜の枝を揺さぶってその三
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桜の枝を揺さぶってその三

「それはね」
「やっぱり悪趣味だよ御前」
「全くだよ」
 野茂と坂上が速攻で突っ込みを入れた。
「黄金のリュックか」
「大昔のコミックボンボンで黄金のマシン乗ってるゲーマーいたな」
 そしてこんな話をするのだった。
「その漫画すぐに終わったけれどな」
「ああ、プラモ狂四郎とかの時代な」
「その頃だよな」
 坪本と佐々はそれをすぐに理解した。
「あの時代のボンボン凄かったからな」
「もう休刊しちまったけれどな」
「そんな雑誌知らねえよ」
 春華はその彼等に突っ込みを入れた。
「うち等はなかよしとかるんるんとかだよ」
「まあるんるんはね」
「もうないけれど」
 静華と凛はそのことが寂しそうだった。
「けれどまあとにかく」
「今から未晴のところにね」
「もう音橋は行ってるみたいよ」
 奈々瀬は彼について言及した。
「もうね」
「早いのね」
 千佳はそれを聞いて述べた。
「もう行ったなんて」
「焦ってるのかもね」
 恵美はその彼をこう見てもいた。
「やっぱり」
「焦ってるの」
「ひょっとしたらね」
 そうではないかと千佳に告げた。
「やっぱり。あれで」
「そうなの。あいつも」
「実際はそうなの」
 明日夢と茜は彼女の今の言葉を聞いて述べた。
「顔にも声にも出さないけれど」
「それでも心の中じゃ」
「そうなってもおかしくないね」
 加山はその可能性を否定しなかった。
「やっぱり。こんな状況だから」
「そうだね。そして僕達はね」
 竹山も言うのだった。
「そんな音橋君をね」
「そういうことよ。それじゃあね」
 恵美はここであらためて皆に顔を向けて。一言告げた。
「行きましょう」
「ああ、それじゃあな」
「今からね」
 こうして皆でまずは病院に向かった。駅前に集まったのはただ集合場所としてであり病院までは全員で歩いて向かうのであった。 
 そして病院に着くとだった。丁度正道が出て来た。その前に車椅子の未晴を引いている。
 車椅子の未晴はやはり何も語らない。光の消えた目で頭を左に傾けたままで座っている。やはり全く身動きすることはない。服だけは普通の上着とズボンだが。それでも何一つとして動きはしない。完全に人形の様になってそこに引かれているのだった。
「未晴・・・・・・」
「行こうね」
 五人がその未晴を見て彼女に声をかけた。
「今から植物園にね」
「行くわよ」
「・・・・・・・・・」
 しかし未晴から返答はない。反応もだ。
 五人はその彼女を見て苦い顔になる。しかしであった。
 今度は正道に声をかける。そして告げるのだった。
「それじゃあね」
「行くわよ」
「いいよな、もう」
「ああ、ただしな」
 ここで彼は
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