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ある晴れた日に
622部分:やがて来る自由の日その十二
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やがて来る自由の日その十二

「また女の子を探しに行くか」
「そうするんだな」
「それかまた動物のところかお花のところに行くよ」
 何でもないといった言葉は変わらない。全く。
「そうするから」
「御飯は買ってあるからな」
 吉見は食事の話もしてきた。
「テーブルの上にあるから食べなさい」
「うん、後でね」
 ゆさゆさと動きながらの言葉だ。
「後でね。そうするよ」
「そうするといい。私はもう食べる」
「それで何かな」
「夕食の献立か」
「うん、それ何なの?」
 動きは続いている。その中での言葉だ。
「それで」
「食券を用意してある」
 料理ではなかった。それであったのだ。
「いつものレストランのだ」
「ラ=フルールだったね」
「そこで食べるといい」
 所謂高級レストランである。一般庶民ならとても行くことはできない。しかし『庶民の味方』を自称する彼はそこに行くことが容易にできるのである。その息子である哲也もだ。
「いいな」
「じゃあそうさせてもらうね」
「金も法律も何とでもなる」
 それを確信している言葉だった。
「私にとってはな」
「テレビや新聞に出てマスコミを味方につけて」
「団体をバックにしていればだ。何とでもできる」
「日本っていい国だよね」
 吉見は邪な笑みを浮かべて述べたのだった。
「本当にね」
「自由だ」
 またこの言葉が出された。
「人間は自由だ」
「だから何をしてもいい」
「全てはその為にある」
「だから僕も今自由をね」
 動きは続く。延々と。
「楽しんでいるからね」
「私も楽しんでいる。これからもな」
「じゃあパパ、後でね」
「御前が今楽しんでいるその娘をだな」
「回るよ」
 そうするというのだ。
「この娘は生きたままになるかな」
「そういえばこの前逃げた娘もいたな」
「そういえばいたね」
 父に言われて思い出した。まさにそんな言葉だった。
「そんな娘も」
「完全に壊れていたのによく逃げられたものだ」
「けれどそれでも何てことないよ」
 まさに石ころを語る、そんな感じだった。
「壊れてたから。壊れたおもちゃが出て行ってくれただけだよ」
「それだけだな」
「うん、それだけだからね」
 造作もないといった言葉が続けられていく。まさにそんな感じだ。
 実際に急に今暴力的になりその娘を激しく殴打し蹴り回した。まるで発作であった。しかしそれは一分程度で終わり元に戻るのだった。それが終わってからだった。また父と話すのだった。息は幾分か荒れてはいたが。
「それじゃあまた」
「夕食を食べてからまたしろ」
「そうさせてもらおうかな」
 弄ぶのに飽きてから夕食に行くのだった。この二人の頭の中にあるものは。ただただ自分だけであった。そ
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