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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
第9話 汗ばむ淫らな女傑達は、媚薬の罠に勝利する
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ジャルノンに彼女達が太刀打ちできる術などない。
 このまま戦っても、全員あっさりと彼の鉄球に敗れ――さらに苛烈な快楽地獄に堕とされる。それは彼女達も、頭では理解していた。

 それでも、戦うしかないのである。一度でも自分達が撤退しようものなら、その瞬間にジルフリーデは再びアンジャルノンに犯され――今度こそ彼の子を孕まされてしまう。
 聖国最後の希望である彼女が帝国人を身籠り、その大きくなった腹を衆目に晒されては。もはや聖国という国そのものが、完全に折られてしまう。跡形もなく滅び去った、ロザヴィーヌの祖国のように。

「……やるぞ、ロザヴィーヌ。ベーナゼット!」
「えぇ……!」
「分かってるッ……!」

 そこまで理解しているからこそ、彼女達は退けないのだ。
 例え、装備の下で勃起している乳房の先端が、収まらなくても。少し肌に触れられただけで、気をやってしまいそうな状態でも。僅かでも油断すれば、今すぐにでも挿入されたいと願ってしまうほど――「聖域」が濡れそぼっていても。

 男を呼び寄せる甘い匂いを纏い、汗だくになりながら。頬を紅潮させ、甘い吐息と喘ぎ声を漏らしながら。
 瞳だけは気高く。得物を握る手だけは、勇ましく。立ち向かうしか、ないのである。例えその先に待つ未来が、陵辱と快楽の煉獄であるとしても。

「――将軍! アンジャルノン将軍! た、大変ですッ!」

「……っ!?」

 その時であった。突如、帝国兵の1人がラフィノヴァ達の背後に駆けつけ、片膝をついたのである。
 戦闘ではなく、報告の用件でここまで来たようだが――その狼狽した表情からは、ただごとではないことが伺える。アンジャルノンは怒気を露わに、用件を問い詰めた。

「なんだこんな時にッ! 一体どうしたというのだッ!」
「もっ、申し上げます! 城下町近辺に、アイラックスの軍勢が現れましたぁ!」
「なにィッ!? い、いつの間にッ……!」

 そして、片膝をついた兵士の報告に瞠目し――鉄球を下ろしたアンジャルノンは。ラフィノヴァ達には目もくれず寝室の窓を開き、その先に広がる城下町の光景を一望する。

「こ、これは……!」

 戦いと陵辱の連続だったために、彼は……彼らは気づけなかったのだ。
 聖国の救援に動き出していた王国軍が、すぐそこまで迫っていたことに。王国騎士団の精鋭達が、城下町の帝国兵を根こそぎ蹴散らしていることに。

「すでに王国軍はそこまで来ており……たった今、バルスレイ将軍から『撤退』の伝令が!」
「撤退だと!? 馬鹿を言うな、この俺に聖国を捨て、引き下がれと言うのか!?」
「ジルフリーデの内乱で戦力を削られた今の我が軍には、アイラックスの軍勢を跳ね除ける力はありません! ここは一旦引いて、体勢を立て直すしか……!」

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