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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
第8話 堕ちた姫君は、快楽に溺れ「種付け」を望む
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れこそ男を知ったばかりのお前が、子宮の入口で絶頂出来てしまうほどにな」
「そ、そんなっ……!」
厭らしく吊り上がったアンジャルノンの口元に吹きかけられる、ジルフリーデの吐息は――すでに彼女の肢体が、眼前のオスに服従していることを意味していた。あとは、折れかけている心だけ。
そして、その心にとどめを刺すために。アンジャルノンは、快楽に膝を折りかけている姫君に対し――非情の決断を迫る。
「……つまり。これは全て、禁止薬物を使われたせいで見ている幻に過ぎん、ということだ。今ここで俺に抱かれ、喘ぎ、絶頂し続けているお前は……媚薬で狂わされているだけであり、本当のお前ではない」
「……ほ、本当の、私では……ない?」
「そうだ。今のお前は、俺が創り出した幻惑の世界に適応するために生まれた、仮初めの姿でしかない。ここで何が起きたとしても、全ては夢。現実の出来事ではない」
「全て……夢……」
「そう、夢だ。このまぐわいも、その果てに待つ絶頂も、お前のせいで起きたことではない。その上で、問おう……ジルフリーデ」
アンジャルノンの言葉も、全てが嘘ではない。強力な媚薬と、それに乗じた激しい責めがなければ、こんな詭弁に容易く騙されることはなかっただろう。
しかし、下腹部から自分を責め続ける剛剣に翻弄され、判断力を鈍らせてしまった今の彼女に――彼の誘惑を拒む力は、残されていない。
「この俺にキスをしてみろ、ジルフリーデ。お前の方から、自分の意志で」
「……っ」
故に。蕩けた貌でアンジャルノンの唇を仰ぎ、子宮を疼かせている彼女は――微かな理性との鬩ぎ合いの果てに。桜色の唇を
自ら
(
・・
)
突き出すという、選択に至る。
「ジ……ジルッ! 騙されてはなりません! だ、だめぇえっ!」
「……んっ……」
そこまで調教されてしまった今となっては、最愛の母であるアリアレイテの叫びさえ、届かない。
ジルフリーデはそのまま、白く優美な両腕を、アンジャルノンの太く浅黒い首に回して。しっかりと、抱き寄せて。ふくよかな巨峰を押し当て、彼の胸板に密着させて。
くびれた腰も、射精を渇望している腹部も。身体の境目さえ分からなくなるほど、強く彼の肉体に擦り付けながら。
「……ちゅっ」
きつく瞼を、閉じたまま。心からの屈服と、永遠の服従を誓うように――アンジャルノンの欲深な唇へと、己の愛を捧げてしまうのだった。
最初にアンジャルノンの方から行ったような、乱暴なキスとは違う。優しく慈しむ、甘い口付けであった。
本能により淫らにくねり、男のモノに絡み付いている「聖域」とは裏腹に――そのキスはまるで、恋人同士の神聖なひと時のようである。
「……よくぞやり遂げたな、ジルフリーデ。流石は気高き聖国の姫君よ」
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