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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
第6話 気高き女騎士は、絶倫と執念に乱れ狂う
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しきとうけんじゅつ》――月鋭剣(げつえいけん)ッ!」

 「彼女」の叫びに呼び覚まされたラフィノヴァは、僅か一瞬のうちに傍に落ちていた両手剣を拾い上げると――ゾゴルドの背を狙い、満月を描くかの如く。円の軌道に、その刃を振り抜くのだった。

「がッ……マ、ジ、かよッ……!」

「……あぁ、『マジ』だ」

 瞬く間に、上下に両断された副官の身体は――鮮血を撒き散らしながら、水浴び場の中へと沈んで行く。

 その様子を冷たく見下ろすラフィノヴァは――媚薬責めと怒涛の膣内射精により疲弊した身体を引きずりながら、鎧に手を伸ばしていた。オンナとしての甘い香りを閉じ込めるように、その全身を堅牢な鎧が固めていく。

「おっ、ここにいたのね! ……はっはーん、さてはソイツに手こずってたな?」
「問題ない、今しがた片付いたところだ。……お前の方こそ、ここに来るまで随分と時間が掛かっていたようだな」

 間一髪のところで、彼女の心を呼び覚ました「邪魔者」――もといベーナゼットが、この水浴び場まで駆け込んできた頃には。すでにラフィノヴァは何事もなかったかのように、全ての装備を整えていた。

 だが、水浴び場に満たされた媚薬の「原液」と、この一帯に漂う匂いから――おおよその状況を悟ったベーナゼットは、ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべている。
 そんな彼女に対して、不遜に鼻を鳴らすラフィノヴァもまた――彼女の身体に残る「オス」の残り香から、何があったのかを悟っていた。

「ハンッ、こんなところで油売ってたあんたに言われたくないっての。……ロザも近くまで来てる、早くジルのところに行こう」
「……そうだな。あと貴様、いい加減ちゃんと『姫様』とだな……!」
「あーもー、こんな時までうっさいなぁ! ジル1人でアンジャルノンに勝てるわけないんだから、急がないとでしょ! 行くよっ!」

 お互いの身に起きたことを思えばこそ、時間を無駄にはしていられない。守るべき最愛の姫君を想い、ラフィノヴァはベーナゼットと共に、水浴び場を後にする。
 そんな彼女達の後ろでは、無残に切り裂かれた副官の遺体が漂い続けていた。

「むぅ……仕方あるまい。足を引っ張るなよ、元兵士」
「あんたこそね、元団長!」
「今も、だ! 私がいる限り、聖国騎士団は屈してなどいないッ!」

 ――そして水浴び場を抜けた2人は、アンジャルノンとの一騎打ちに臨むジルフリーデの元へと駆けつけるべく、城内を疾走していた。
 その最中、ベーナゼットの背を一瞥するラフィノヴァは――ゾゴルドに挿入される直前、快楽に酔い痴れていた自分を呼び戻した彼女の「叫び」を思い返していた。

 自分によく似た「お転婆」でありながら、どうしようもなく捻くれていて。根性を叩き直してやろうと稽古を付けた
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