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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
第4話 妖艶な女盗賊は、触手と挟撃に乱れ狂う
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数多の国を傘下に従える、強大な帝国。その長きに渡る侵略の歴史は、大勢の血と涙と屍の上に成り立っている。
「亡国の姫」として生を受けたロザヴィーヌもまた、その歴史という鎖に繋がれていた。今の聖国がそうであるように――彼女の祖国も帝国に支配され、植民地にされていたのだ。
しかし彼女の祖国は、属国として永久に嬲られる道を拒み、帝国に反逆した。独立を求め、
最期
(
・・
)
まで抗ったのだ。
帝国の支配を、誰もが拒絶したのである。文字通り、跡形もなく滅び去るまで。
そして無謀にも抵抗を重ねる彼の国に、絶対的強者は一切の容赦もなく「裁き」を下し――地図の上から、跡形もなく消し去ったのだ。今ではその地は、初めから帝国の領地であったかのように記されている。
帝国に刃向かい、押し潰された亡国の象徴。それが遠い地へ独り落ち延びた、ロザヴィーヌという女だったのだ。
だが。生まれついての気の強さ故、敗者であり続ける人生を嫌う彼女は――祖国を滅ぼされ、家族を奪われ、全てを失って、なおも。
心が折れないどころか、帝国への敵意をより熟成させて――戦い続けたのである。帝国軍人ばかりを狙う、孤高の盗賊となって。
そんな彼女が旅の中で巡り会ったのは、祖国と同じく帝国に敗れた「聖国」という国。そして、その国のために剣を取った姫君――ジルフリーデだった。
帝国の暴威によって滅びた祖国とは違い、降伏を受け入れ属国に成り下がる道を選んだ軟弱な国。そう見下していた彼女にとって、気高さを失わず抗おうとするジルフリーデの姿には、思う所があったのだ。
祖国のように帝国に敗れ、支配下に置かれ、国中が屈辱と恥辱に塗れても。「玉砕」より遥かに難しい、「奪還」という光明を目指して歩み続けるその背中に――かつて祖国の勝利を信じていた、幼き日の自分を重ねた彼女は。
多勢に無勢故、ラフィノヴァと共に追い詰められていた彼女達に、助太刀したのである。それがロザヴィーヌと、ジルフリーデ達の出会いであった。
そして彼女は今も、金のため――という
建前
(
・・
)
で、ジルフリーデの旅に同行している。
自分には成し得なかった「可能性」を秘めた彼女に、託したのだ。彼女ならば帝国に、一泡吹かせることが出来るかも知れない、と――。
◇
聖国の城にはいくつか、侵入者を迎え撃つために仕込まれた「罠」が設けられている。いずれも魔法を使える者が数多く居た、遥か昔の時代に造られた古いものばかりなのだが――高名な魔導師が遺した魔力の残滓により、今もなお稼働し続けているのだ。
「ん、んぁ……はぁっ……!」
不運故か、策略故か。大広間から離れ、狭く薄暗い通路へと逃げ込んだロザヴィーヌを待っていたのは――数百年前の魔物の体を利用して造られた、触手の拘束具だ
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