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ある晴れた日に
619部分:やがて来る自由の日その九

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やがて来る自由の日その九

「弁護士とかマスコミとかね」
「そうですね。ああした人達が」
「考えてみればマスコミも弁護士もね」
「権力者ですよね」
「特にマスコミはね」
 江夏先生は彼等について言った。その吉見の父もマスコミと縁の深い弁護士だ。テレビ番組にコメンテーターとして頻繁に出ていることからそれがわかる。
「物凄い権力者よ」
「それはずっと気付きませんでした」
「私もよ」
「そうだったんですか」
「ずっとね」
 そして自分のことを話すのだった。
「権力者っていえば」
「政治家とか大企業とか」
「お医者さんとか官僚だって思っていたわ」
「けれど実際は」
「そうした人達の権力なんてね」
「限られているんですね」
 そういうことなのだった。それよりもだった。
「マスコミやそれに近い人達は」
「かなりの権力を持っている」
「まさにやりたい放題のね」
 それこそが権力である。まさにそうした話であった。
「そうした力があったのよ」
「はい、本当に」
「やっとわかったわ」
 江夏先生の顔はまた忌々しげなものになった。
「今になって」
「竹林さんのことから」
「何とかできないかしら」
 そして言うのだった。
「このことは」
「あの吉見という男を」
「できたらいいけれど」
 言葉には諦めも入ってしまった。
「本当にね」
「そうですね。多分今にもまた」
「やっているわ」
 江夏先生はまた忌々しげな顔になった。
「絶対にね」
「それでまた竹林さんみたいな娘が」
「竹林さんだけじゃないみたいなのは間違いないわ」
 それは確かだというのだ。
「どうも最近あちこちでね。ああいうふうにボロボロになった女の子がね」
「見つかってるんですか」
「表には出ない話よ」
 それは断る。
「決してね」
「父親が圧力をかけているからですか」
「流石にあのテロ国家の関連組織や過激派の抗議は怖いわよ」
 そうした権力を使ってだというのである。
「それにね」
「それに?」
「マスコミはそうした組織と一緒だし」
 こう言うのであった。
「思想が一緒で近い人間がその中にいて」
「犯罪者やテロリストとですか」
「だから。結局はね」
「身内だから報道しないんですね」
「そういうことよ。だからこの一連の話はね」
「表には出ない」
 そうなるというのである。
「それで、なんですか」
「それによ」
 江夏先生はさらに話を続けた。
「上手に隠蔽しているらしくて」
「向こうもそれをですか」
「ネットでも表じゃ滅多に出ない話らしくて」
「誰も知らないんですか」
「けれど。そうしたボロボロになった娘がどんどん出ていて」
 それは事実であるというのだ。例え表には出なくともだ。

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