第十話「ホロコースト・U」
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いのですね」
「当たり前だろ。武器を持たない、戦意もなくただ戦闘の邪魔にしかならない存在を数に入れる訳がないだろ」
彼女の辛辣な言葉に士道は俯く。彼女の言う通りこの場において最も戦力を有しておらず身を守る事も出来ないと理解していたからだ。士道のその様子を気にも留めず彼女は空間からある物を取り出した。
「光栄に思え、ナイトメア。貴様にはこれで止めを刺してやるよ」
彼女が取り出した物はナチスドイツが誇る高射砲、アハトアハトであった。到底人が持てるような大きさでも重量でもないが彼女はまるで小銃を構える時と同じように持ち、重さなど感じていないかのようにしている。
「準備は出来たか?まあ、準備が出来てなくても構わないがな」
彼女はそう言うと共に狂三へと弾丸が放たれる。MG42やラインメタルよりも巨大で手榴弾より威力のある弾丸はその射程距離の短さもあり呆気なく狂三の元に到着した。狂三は一瞬にして胴体が消し飛ぶと同時に弾丸の爆発の中へとかき消えていった。当たった瞬間の事も考えれば即死であろう。
「狂三ぃっ!」
狂三の呆気ない死に士道は声を上げるが狂三、ナイトメアの事をこの中では本人の次に知っている彼女は警戒することなくアハトアハトの代わりに機関銃を構えている。
「…お見事ですわ。あと少し早ければ私は死んでしまうところでしたわ」
「やはり、生きてたか」
「く、狂三?」
狂三が最後に立っていた場所。そこから少し後方から黒い影が現れ先ほど死んだはずの狂三が現れる。彼女は仕留め損なった事を薄々感じながら機関銃を構え士道はなぜ生きているのか分からず呆然とする。
「全く、貴方が本気の時に戦いたくはありませんわね。私が何十人いても足りないですわ。そうでしょ?私たち?」
狂三がそう言うと彼女と士道を囲むようにたくさんの狂三が現れる。
「な、なんだよこれ…」
「これらはあらゆる時間軸の私たちですわ」
大量に現れた狂三は本体を守るように配置しつつ全方向を囲むようにいた。彼女は首を回し軽く確認すると改めて本体の狂三を見る。狂三の瞳には既に戦意の意志はないが自分の邪魔をした彼女に不満はあるようで軽く睨んでいた。
「さて、私はこの辺でお暇させていただきますわ。流石にこれ以上暴れるのは危険ですので」
「逃がすと思っているのか?」
「きヒヒヒ!そのための私たちですわ!」
狂三がそう言うと分身体全てが短筒を向けてくる。確かに彼女と言えどこの数をまともに相手するのはきつい。自然と分身体の相手をせざるをおえなくなっていた。
「ナイトメアッ!」
「ふふ、それではごきげんよう。今日はそれなりに楽しかったですわ」
狂三はそう言うと自分の影の中に消えていくのであった。
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