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戦国異伝供書
第五十一話 関東管領就任その五
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「城に入ってみせましょう」
「そうされますか」
「敵の考えていないことをするのが戦に勝つ方法です」
「それをあえてされますか」
「はい、では今よりその城に向かいます」
「恐ろしいことを、ですが殿」
 柿崎は政虎の誰もが考えない様なとてつもない城の救い方に開いた口が塞がらなかった、だがそれでも言うのだった。
「殿がおられない間主力は」
「このままです」
「武蔵に向けてですか」
「南下していってもらいます」
「ではその軍を率いるのは」
「新五郎とします」
 政景を見て言った。
「その様に」
「それがしが、ですか」
「はい、任せます」
「では殿、その間は」
 斎藤朝信が政虎に問うてきた。
「お任せ下さい」
「城を救いすぐに戻ります」
「はい、何があろうともです」
 ここで斎藤は政景を見た、彼が常に政虎に対して二心あると言われていることから警戒しているのだ。
「お任せ下さい」
「安心するのです、新五郎はやってくれます」
 だが政虎はこう言うのだった。
「必ず」
「だからですか」
「新五郎に任せます、では行って参ります」
 こう言ってすぐにだった、政虎は上杉家でも選りすぐりの豪傑ばかり選びそのうえで城に向かうことにしたが。 
 政虎は具足を取って馬に乗っていた、このことにその豪傑達も仰天した。
「殿、具足は」
「兜も着けられませぬか」
「まさかそれで城に向かわれますか」
「そうされるのですか」
「そうです、具足を着けるとです」
 兜もとだ、政虎は彼等に答えた。
「重くその分馬が疲れ遅くなります」
「それはその通りですが」
「ですが戦の場に具足を着けずに行かれるとは」
「兜もとは」
「それは幾ら何でも」
「構いません、刀や矢を受けねばいいだけのこと」
 政虎は平然として言った。
「それだけですから」
「そう言われますか」
「では、ですか」
「そのお姿で行かれますか」
「これより」
「そうします、行きましょう」
 豪傑達にも平然として言う、そしてだった。
 政虎は実際に具足も兜も着けず刀だけを持って馬に乗ってそうしてだった、豪傑達を引き連れ馬で城に向かった。
 城には具足を着けずに乗っただけあって馬の足が速くその近くまですぐに着いた、だが城の周りにだった。
 北条の白の大軍がいた、その数は。
「一万より多いですな」
「これは」
「援軍が来た様ですな」
「数千程」
「そしてその大軍で、ですか」
「城を攻め落とすつもりですか」
「そうですね、ですが」
 それでもとだ、政虎は言うのだった。
「城は落とさせません」
「この度は、ですな」
「何があろうとも」
「だからこそここまで来ましたし」
「これからですか」
「城まで駆け付けます」
 こう豪傑達
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