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戦国異伝供書
第五十一話 関東管領就任その一

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               第五十一話  関東管領就任
 政虎は越後の春日山城を出るとすぐにそこから上野に向かった、そしてまずは上野に入った。
 彼は上野の厩橋城に入るとそこで上杉家の諸将に言った。
「ではこれよりです」
「はい、沼田城に向かい」
「あの城も拠点としてですな」
「さらに南に向かう」
「そうされますな」
「そうです、前の出陣の時は沼田で止まりましたが」 
 それをというのだ。
「この度こそはです」
「さらにですな」
「沼田から南に下り」
「そしてそのうえで」
「武蔵に入り」
「そして、ですな」
「それから」
「そうです、鎌倉にも入り」
 そうしてというのだ、東国の武士達にとってかつて幕府があったことから特別の地であるこの地にだ。
「そのうえで、です」
「小田原にですな」
「遂にですな」
「あの城を囲み」
「攻め落としますか」
「そうします、そして鎌倉にです」
 先に入ると言ったこの地にというのだ。
「公方様に戻って頂きます」
「わかりました、ではです」
「このままですな」
「さらに下り」
「攻めていきますな」
「そうします、では関東八家の方々にもです」
 佐竹家や宇都宮家、結城家といった家々にもというのだ。
「既に文を送っていますが」
「再びですな」
「文を送り」
「そしてですな」
「そのうえで」
「はい、当家の下にです」
 関東管領である自分のというのだ。
「集って頂き」
「そしてですな」
「そのうえでさらにですな」
「関東の全軍を以て」
「そしてですな」
「北条家を攻めます、如何に北条家といえど」
 関東を席捲しているこの家でもというのだ。
「関東の力を集めれば」
「敵でないですが」
「流石に」
「あの北条家といえど」
「そうです、そしてわたくしもです」
 政虎自身もというのだ。
「攻めます」
「そうされますな」
「ではこれよりですな」
「南に向かいますな」
「兵を率いて」
「そうします」
 こう言ってだ、政虎は沼田城からさらに兵を進めた、だがその動きを甲斐から見つつだった。晴信は言うのだった。
「今は好機じゃ」
「はい、この時こそです」
 高坂が晴信に応えて述べた。
「甲斐そして信濃をです」
「しかと治めてな」
「そして足場を固め」
「どちらの国も豊かにしてな」
「そのうえで」
 まさにというのだ。
「美濃に向かう様にもしましょう」
「あの者が関東に向かっている間にな」
「ですな、これ以上の好機はありませぬ」
「内はそうしてまとめ」
 そしてというのだ。
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