第百六十一話
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第百六十一話 最後まで楽しんで
雪路はトカイを飲みつつ料理を食べていった、そしてステーキもデザートも食べ終えてワインも最後の一口まで飲んだ。
そうしてだ、カーミラに笑顔で言った。
「もうです」
「満足したかしら」
「はい」
その通りだと答えた。
「もうすっかり」
「では忘れたわね」
「失恋のことですね」
「そうなったわね」
「忘れていました、そして」
雪路はカーミラにさらに話した。
「思い出しても」
「それでもよね」
「もう何でもありません」
「そうなったわね」
「すっきりしました」
「そうよ、ワインはね」
これまで飲んだこの酒はとだ、カーミラもトカイの最後の一口を飲み終えてから雪路に対して話した。
「失恋も洗い流してくれるのよ」
「そうですか」
「そうよ、だからね」
「今日はですか」
「貴女にずっと飲んでもらったし」
これまで言った通りにというのだ。
「そうだったのよ」
「そうでしたか」
「そう、そして実際によね」
「もう失恋のことは」
「何でもなくなったわね」
「ワインのことや遊ぶことを考えて」
カーミラに案内されてというのだ。
「そしてでした」
「そうだったわね、これでね」
「すっきりして」
「失恋もでしょ」
「何でもないです。大切な人と思っていましたが」
そう思っていた人と別れたと思っていたがというのだ。
「もう」
「そうよ、ならもうね」
カーミラは明るい顔になった雪路にこう言った。
「暫くして新しい恋をね」
「探してですか」
「それに入ればいいわ」
「そうですか」
「もうすっかり忘れて思い出になったから」
ワインで悲しみを洗い流したからだというのだ、カーミラは雪路に彼女の部屋まで案内すると言ってだった。レストランを二人で去った。最後の楽しみだった場所を。
第百六十一話 完
2019・5・23
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