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デート・ア・ライブ~Hakenkreuz~
第九話「ホロコースト・T」
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いつもの様に殺してやります!」

「狂三!シド―を離せ!」

「きヒヒヒ!貴方たちでは私を殺しきる事など不可能ですわ!」

狂三がそう言って〈刻々帝〉の力を使おうとした時であった。ゴロゴロと思い何かが転がる音が響く。屋上の床を見れば一つの柄付き手榴弾が両者の間に転がってくる音であった。

「っ!」

「へ?うわぁ!」

「シド―!」

「くっ!」

「これは!」

狂三は士道を連れたまま後方に大きく下がり十香はそれを追いかけようとするが爆風の壁に防がれてしまう。折紙と真那は大きく下がり昨日同じものを目の前で受けた真那はその正体に気付く。

「…私を無視して戦争を行うのはやめて欲しいね」

両者の中間、手榴弾による爆風が終わった後そこには先ほど以上に不機嫌な彼女の姿があった。手榴弾を使ったためか両腕に持っていたMG42は右手にしか握られておらず左手には何もなかった。彼女は左右を見渡すと懐から古い煙草を取り出し一服する。

「ふぅ、…崇宮真那。これは私の獲物だ。今日の所は退いてもらおう」

「ふんっ!誰がてめぇなんかの命令を聞きやがりますか。ナイトメアごと殺すまでです」

「…そうか。ならやる事は単純だ!」

彼女はそこまで言うと一旦区切る。瞬間彼女の周りに膨大な霊力が集中してくる。圧倒的な霊力の奔流にその場にいる全員が息を呑む。

「出でよ!〈無名天使(ノーネーム)〉!」

彼女がそう言うと同時に霊力が集まり彼女の両手にに集まりそれは手袋という形で現れた。黒い手袋だが手の甲には鉄製の真っ赤な鉤十字があしらわれていた。

ただの手袋、なれど見る物が見れば警戒せざるをおえない力を有していた。

「こちらの準備は整った。後は貴様等の方だ。さあ、まずは誰からだ?かかってくるがいい」

既に彼女を無視できる者はこの場には存在しなかった。先程まで自らの天使を出し戦意高揚していた狂三も、その宿敵である真那も精霊を憎む折紙も霊力を封印された十香もその霊力を封印した士道も彼女を抜いて何かをする事は出来なかった。

既にこの場は、彼女の圧倒的な力と雰囲気に呑まれ、支配されていた。

「来ないのか?」

彼女の言葉に答えることが出来る物はいない。彼女の一挙手一投足に目を離せない。離せば最後、一瞬で命を刈り取られる。そんな思いがここにいる者たちの心の中に巣くっていた。

そして、誰もが動けないこの場で彼女は失望したように息を吐くと口を開いた。

「なら、こちらから行くぞ」

瞬間、彼女による大虐殺(ホロコースト)が幕を開けるのであった。

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