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ユア・ブラッド・マイン―鬼と煉獄のカタストロフ―
episode6『仲直り・後編』
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無理して答えてあげたのに」

 何故だか笑いが込み上げてきたヒナミに、シンが不満げな様子で抗議する。長らく笑っていなかったツケなのか妙なツボに入ってしまったようで、笑いを噛み殺しきれない。

 気を紛らわすように立ち上がって、一つ深呼吸と伸びをする。

 勿論何も解決してはいない、問題は山積みだし、状況は依然危険なままだ。けれどほんの小さな光明でも見出せるか見出せないかでは、まるで心にかかる負荷が違う。

 幾分か、心が軽くなった気分だった。

「……そうだ。はい」

「……?どうしたのさ」

「最初にシンが言ってたんでしょ、仲直りしに来たんだって。ほら、仲直りの握手。それとも、喧嘩しっぱなしがいい?」

「ま、待った待った!」

 突然差し出された手に困惑した様子のシンが、引き戻されそうになった手を慌てたように取る。ヒナミの手よりも一回りも二回りも大きなその手をきゅっと両手で包むと、何度か軽く振って見せる。
 それは仲直りのしるし。互いに抱えるものに振り回されて起きた勘違いの仲違いは、この握手を以て決着した。

 そして同時にこれは約束の握手であり、お祈り。どうか、どうかこの約束が――



「……私を助けてくれる?シン」

「うん、勿論。約束だ。鬼は約束を守るからね」

「鬼?あはは、やっぱり変なの」



 ――どうか平穏に終わりますように、と。





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