episode6『仲直り・後編』
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た。あまりにも唐突で意外な行動に目を見張れば、正面にあったシンが視界に入る。
彼は、泣きそうな顔で微笑んでいた。
「――ごめん。僕だけは、ダメなんだ」
「……ぁ」
有無を言わさぬ何か大きなものが、ヒナミに反論を言わせてはくれなかった。
シンはヒナミの頬を挟んだ両手を離すと、表情を取り繕って笑う。けれどその表情の裏に隠れているだろうさっきの顔が、脳裏に焼き付けられたかのように剥がれてくれない。何かとても苦しそうで、辛そうで、今浮かべる笑顔すらも、今や無理をして浮かべているだけの仮面にしか見て取れはしなかった。
「……大丈夫。シスターに頼めば、きっとすぐに見つけてくれるさ。僕だって手伝えることがあるなら何でも手伝う。他の皆も優しい子達だからさ、避けなくったっていいんだよ、きっとよくしてくれる」
「で、でも、その前に見つかったら……」
「大丈夫、その時は死んでも僕が何とか逃がすさ。ヒナミも皆も、大事な家族を守るのが、僕の役目だからね。……ああでも、だからって急いで相手を適当に選ぶのはナシだからね。きっと長い付き合いになるパートナーなんだ、良く考えて決めること。いいね?」
――彼は、何なんだ。
どうして出会ったばかりの相手を家族などと呼べる、どうして平気で命を投げ出すなどと言える、どうして知りもしない相手のためにここまで考えてやる必要がある。分らない、分らない、分からない。
理由が知りたい、訳が知りたい、彼がこうまで言う要因が知りたい。
――どうして?
「……どうして、そんなに良くしてくれるの?」
「……?どうして、っていわれてもなぁ」
ぽつりと漏れた問いに、シンが困ったように首を傾げる。うーんうーんとしばらく首をひねって考えた彼は不意に“ああ、強いて言うなら”と前置きして笑うと、ヒナミの問いへの答えを返した。
「……義妹に泣いてほしくないお義兄ちゃん根性、って事で。自分で言うのもこっ恥ずかしいけどね」
頬を掻きながら照れたように笑うシンの回答は、半分答えにはなっていなかった。
そもそも家族と呼べるほど親しくなったわけでもない、どころか自分は勘違いで彼を深く傷つけた前歴がある、それでも尚ヒナミの事を家族と呼ぶ理由がまるで理解できなかった。
しかし、それはある意味で答え。ヒナミの事を家族と呼ぶことは、シンにとってそう深い理由もいらない些事なのだ。
雨が降れば傘をさすように。喉が渇けば水を飲むように。
ヒナミがこの教会に来た時点で、彼にとってヒナミは家族だったというだけの話。
――それはなんともまぁ、おかしな話だ。
「……ふ、ふふ。なにそれ、変なの」
「あっ、笑うことないじゃないか。人が折角
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